研究課題/領域番号 |
19K07925
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
河野 緑 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00225385)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メトホルミン / 腸内細菌叢 / 胆汁酸 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、糖尿病モデルマウスを使って、糖尿病治療薬であるメトホルミンによる腸内細菌叢の構成の変動と病態について検証を行い、メトホルミンが腸内細菌叢に与える影響を調べることである。申請者は6週令のC57BL/6JmsSLC系統の2型糖尿病モデルob/ob 雄6匹と同系統の野生型雄6匹をそれぞれ3匹づつゲージにいれて、メトホルミン投与ob/ob 群,メトホルミン非投与ob/ob群,メトホルミン投与野生型群,メトホルミン非投与野生型群の4群について、アンプリコンシーケンスによるメタ16S解析、菌種(属)特異プライマーを用いた定量的PCRでの解析、糞便中の胆汁酸の測定を行った。尚、本来は4週令のマウスを個別ゲージにて飼育予定であったが、ゲージの確保に難航した結果、群飼育(3匹/ゲージ)に切り替えることになった。また、実験開始の週令を6週令に変更した。 野生型とob/ob型の比較ではメトホルミン投与に関わらず、ob/ob型にはClostridiae が検出されないなど腸内細菌叢がもともと異なっていることが示された。また、メトホルミン投与後にはLactobacillus の割合が野生型、ob/ob型ともに減少することが示唆された。また、飼育期間を延長したところ、野性型でメトホルミン投与群の方が非投与群よりも定量的な解析によりBifidobacterium属が多いことが示唆された。 胆汁酸解析については、解析方法の検討を行った段階で、LC-MS/MS により胆汁酸プロファイルを測定できることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅延の理由①マウス飼育中に飼育していた飼育中のC57BL/6JmsSLC系統の2型糖尿病モデルob/obマウスが水飲み器の関係するトラブルにより溺死した事故が発生し、原因調査中は実験が中断してしまった。原因調査に努めたが原因不明であった。その後、同様の事故は起きていない。 遅延の理由②マウスの糞便より腸内細菌叢のDNAを抽出する際ビーズ式細胞破砕装置を使用しているが、現有の機器が故障してしまった。劣化が主な原因であることが考えられ当初は修理を考えたが、すでにメーカー修理期間が終了していたため、新しく機器を購入することになった。修理の検討から代替機の選定および納品まで1か月強かかってしまい、その間核酸抽出が中断してしまった。 遅延の理由③関与していた他研究課題の指導者が不在となり、関わっていた他大学の学生の指導が必要になってしまい、当初考えていた当該研究のエフォートが十分に確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進については、概ね当初の計画通り実施していく。今年度は飼育室でのゲージ確保の関係で群飼育を余儀なくされたが、食餌量に個体差がでてくることが推察されたので、個別ゲージでの飼育(計画通り)の実施を行いたい。また、メタゲノム解析結果の再現性が悪いものがあるので再解析を行う。その結果をふまえ、メトホルミン投与によって変化する菌群について属または種レベルでのリアルタイムPCR解析を行う。 胆汁酸解析については、今回検討した方法(LC MS/MS)で進めていくが、予想以上にマウス糞便の胆汁酸がヒトとは異なる分子種であったことから、校正を行うためにリトコール酸などの胆汁酸の標準試薬の購入を行う予定である。 また、次年度はエフォートの分配を考えて、本研究課題に使用すべき時間を削らないようにして、今年度の遅れを取り戻したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
実績報告書にも記載致しましたが、マウス飼育時の原因不明の事故、糞便から核酸抽出をする際に必要なビーズ式細胞破壊装置お故障および新規機種の選定等のために実験が遅延してしまったため、実験計画より進捗が遅れてしまい、消耗品費が残ってしまいました。繰り越した残金については、遅れている実験計画の推進に使用致します。
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