研究課題/領域番号 |
19K07929
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
船上 仁範 近畿大学, 薬学部, 准教授 (70449833)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 慢性ストレス / 海馬神経新生 / 神経分化 / うつ |
研究実績の概要 |
現代病であるストレスはうつ病や不安障害など精神系疾患を発症させる一要因であり,気分(感情)障害であるうつ病は,半数以上が不安障害も併発している。うつ病では,画像診断において情動を制御している大脳辺縁系の海馬が萎縮し,神経の器質的異常を示す。しかしながらこれらの異常がどのように生じるのかについての詳細な分子メカニズムは不明である。そこで初年度はうつ及び不安様行動を示すSARTストレスマウスと正常マウスの2群を使用して,ストレスによる海馬の神経新生への影響を組織免疫染色法により検討した。 SARTストレスは室温24℃・庫内温度4℃の動物飼育チャンバーに,マウスを毎日9時から16時までの間は1時間ごとに両ケージ間に移し替え,16時から翌朝9時までは4℃のチャンバー内で飼育する環境温度ストレスに7日間曝した。 まずすべてのマウスにEdUを投与し,ストレスを負荷した。ストレス負荷終了後,海馬標本を作製し,Edu並びにKi-67の免疫染色しその要請細胞数を計測した。その結果,慢性ストレス状態にあるSARTストレスマウスで新生細胞数の有意な増加が認められた。次にEdUと未熟神経細胞のマーカーであるDoublecortin(DCX)を蛍光免疫染色し,これらが共局在している割合を算出した。その結果,EdU陽性細胞数に対するEdU,DCX両陽性細胞数の割合は,有意に減少していた。すなわち,SARTストレスにより新生細胞は神経細胞へ分化せずにそのままの状態を維持あるいは消滅している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で示したとおり,令和元年度の研究目的は「慢性ストレス状態ストレスにおける海馬神経新生への影響」を検討することであった。 検討すべき項目に対する成果はすべて得られており,令和元年度の目的はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度のうつ及び不安様行動を示すSARTストレスマウスでは慢性ストレスにより海馬神経新生の低下することを見いだした。令和2年度はこの神経新生の低下と神経分化に関与するRNA結合タンパク質の関与を免疫染色法により詳細に検討する。 これらの研究について,得られた結果をとりまとめ,研究成果の発表並びに論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により年度末に購入予定であった実験動物(マウス)の購入を取りやめたために未使用額7,545円が生じた。次年度では実験動物の購入に充てる。
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