研究課題/領域番号 |
19K07932
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大川 龍之介 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50420203)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高比重リポタンパク / 超低比重リポタンパク / アポリポプロテインA-I / アポリポプロテインC-II / アポリポプロテインC-III / 血清アミロイドA / コレステロール引き抜き能 |
研究実績の概要 |
1.断片化apoA-Iの分析 プラーク中に存在する二つの酵素(Myeloperoxidase,Chymase)の作用によって産生された断片化apoA-IをMALDI-TOF/TOF質量分析計およびLC-ESI-QToF質量分析計を解析した.データベースとの照合,断片化apoA-Iの質量より,両酵素の作用による切断部位を特定した(投稿準備中).また,この断片化によるHDLの機能への影響を調べている. 2.VLDL由来タンパクのHDLへの転送機序の解明および機能への影響 VLDLとHDL2およびHDL3を反応させた後,HDL中のapoC-II,apoC-IIIを検出すると,VLDLの濃度依存的にapoC-II,apoC-IIIが転送されることが明かになった.さらに,この転送がVLDL由来であることをビオチン標識および免疫沈降法により確認した.また,健常者HDL2およびHDL3に含まれるapoC-II,apoC-III含有量を測定したところ,健常者間においても大きく偏っていることを確認した(投稿中).また,これらの転送がVLDLおよびHDLの代謝にどのように影響を与えるかを現在検討中である. 3.血清アミロイドA(SAA)含有HDL形成機序の解明 内科的疾患のない整形外科にて手術を受けた患者残血清中のHDLを解析し,SAAとHDLの変化を分析した.SAAは術後3日目にピークに到達し,HDLのプロファイルも著しく変化した.このピーク時SAA濃度と変化したHDLのプロファイル(平均粒子サイズ,表面荷電)の変化の程度は正の相関を示した.また,上記のHDLを用いてコレステロール引き抜き能を調べたところ,一部の検体において,コレステロール引き抜き能の低下が認められた(投稿中).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に計画した3つのプロジェクトのうち2つは予定通り遂行し,一部国際誌に投稿している.残りの1つはまだはっきりとした成果が挙げられていないが,2020年度研究予定であったプロジェクトを先行しておこない,一定の結果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に示した投稿準備中の成果を速やかに投稿する.2020年度研究予定のHDL機能評価法の検討も先行し,また,評価対象の臨床検体も8割が収集を終えている.これらの方法および検体を用いて間もなく評価し,HDL機能評価法の臨床的な意義が見いだせると考えている.
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