研究課題/領域番号 |
19K07934
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
森田 浩之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90252147)
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研究分担者 |
横田 康成 岐阜大学, 工学部, 教授 (00262957)
池田 貴英 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30444326)
田口 皓一郎 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (80610401)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 頸動脈エコー / 血管年齢 / CAVI / IMT / 深層学習 |
研究実績の概要 |
関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病では、自己免疫による高サイトカイン血症などから動脈血管内皮細胞傷害を引き起こし、炎症疾患としての動脈硬化が健常者よりも進展すると考えられている。動脈硬化による関節リウマチ患者での心血管イベントリスクは健常者と比較して約2倍になると報告されており、平均寿命も健常者に比較して約10歳短い理由の1つと考えられている。同様に、生活習慣病の1つである2型糖尿病患者でも、高血糖やそれに伴う脂質代謝異常によって動脈硬化が年齢以上に進行する結果、心血管イベントリスクは健常者の2倍とされており、平均寿命も健常者より約10歳短いことが知られている。 現在、臨床応用されている動脈硬化の定量的指標として、四肢血圧同時測定による心臓足首血管指数(CAVI)、頸動脈エコー検査による内膜中膜厚(IMT)やコレステロールプラーク厚がある。一般に、心血管疾患発症予測には、コレステロール沈着の指標と考えられる動脈の内膜・中膜の指標であるIMT よりも、動脈壁の硬さ(ステフネス)の指標であるCAVI の方が有用であると考えらえている。 我々は、動脈ステフネスに注目し、頸動脈エコーでの心拍動に伴う総頸動脈壁の動きから、動画解析によってその硬さを測定する新たな動脈硬化指標である弾性係数(E1)を用いた血管年齢の新たな評価方法を開発した。呼吸の影響を除くために頸動脈長軸での8秒間のDICOMでの動画撮影(フレームレート30fps)が必要であるが、頸動脈をエコープローブでかなり強く圧迫しない限りE1への影響はなく、3名の検査技師による測定間変動係数も4.5%、5.9%、3.3%と良好であった。 これまで正常者、生活習慣病や膠原病患者560名(平均年齢68±12歳、女性58.9%)のCAVI、IMT、E1の同時測定を終了し、CAVIとE1それぞれから血管年齢を算出している。CAVIとE1による糖尿病の有無および膠原病の有無での血管年齢の差を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目標症例(800名)にまだ達していない。そのため、方法の正確性や有用性の評価が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1)解析患者数は増えているが、頸動脈エコーとCAVIを同時オーダーする医師数を増やして月当たりの解析患者数を増加させる。 2)生活習慣病では2型糖尿病、膠原病では関節リウマチに絞って血管年齢の比較を、性・年齢をマッチさせて行う。 3)IMTを動脈硬化度の基準として、CAVIとE1での動脈硬化度の正確性の評価を統計学的に比較する。 4)撮像した頸動脈エコー動画を深層学習させ、新たな数理モデルの作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のために、予定していた高齢者と小児のデータを得るための講演会および計測会を開催できなかったため。
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