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2019 年度 実施状況報告書

パーキンソン症候群の病態解明へのChromogranin Bを含むシーズ探索研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K07939
研究機関鳥取大学

研究代表者

瀧川 洋史  鳥取大学, 医学部, 講師 (30511373)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード神経学 / 老年学 / 神経変性疾患 / 進行性核上性麻痺 / 大脳皮質基底核変性症 / パーキンソン症候群
研究実績の概要

パーキンソン病を含めたパーキンソン症候群(PS)は,原因不明の進行性の神経変性疾患であり,未だに有効な治療法はない.PSでは臨床的に鑑別診断が困難な場合が少なくない.この課題解決のため.これまで申請者らは脳脊髄液を用いたショットガンプロテオミクス解析を行い,PSのひとつである進行性核上性麻痺(PSP)に特異的な診断マーカー候補としてChromogranin Bをはじめ36種類の候補分子を得た.また,microRNAアレイ解析によって8個のPSP特異的microRNA候補を得た.本研究では,詳細な臨床情報の整った多数例のPS症例における候補分子,microRNAを測定し,診断マーカーとなるかどうかを明らかにするとともにPS各疾患の臨床症状や予後,薬物への反応性などその相違を知る上での有効性を明らかにし,PSの早期診断,病態解明,治療戦略に資するシーズを得ることを目的としている.
ショットガンプロテオミクス解析によって得られているPSP疾患特異的候補分子についてpathway enrich解析を行い,細胞外マトリックス,ECMプロテオグリカン,翻訳後タンパクリン酸など4つのpathwayに関連した12種類の分子について統計学的に有意なenrichな解析結果を得ている.これらの候補分子の一部には,バリアントが存在する分子も含まれており,PSPに特異的な変化を起こしているバリアントを確認するためにWestern blotting法による解析を進めている.また,PSP特異的microRNAについては,多数例の血清中のmicroRNAを用いたqPCRによるvalidation解析を行い一部のmicroRNAにおいて再現性が確認できており,更に多数例での解析を進めている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

ショットガンプロテオミクス解析によってPSPに特異的な変化を示す候補についてpathway richment解析によって候補分子の絞り込みを行った.それらの候補についてELISA法にてvalidation研究を計画していたが,アミロイド前駆タンパク,chromogranin Bなど一部の候補についてバリアントが存在することが明らかとなり.先ずはWestrn blotting法,HPLC法などによるバリアントの検討が必要になった.また,microRNA解析については,qPCRによる定量が安定しないために試薬の選定,PCR条件の検討に時間を要し研究計画が遅れている.
また,COVID-19の感染拡大のために海外からの試薬が入手困難な状況が続いていることも研究遅延に影響している.

今後の研究の推進方策

バイオマーカー候補にはアミロイド前駆タンパク(APP)のようにバリアントが存在する分子が含まれている.PSPにおいて特異的な変化を示しているバリアントを確認するためにAPPのN末端,C末端部分を認識する抗体によるWestern blottingを行い.APPバリアントを確認することを計画している.また,choromogranin BについてはバリアントのひとつであるbCHGB_6255についてアミノ酸配列の決定など解析を進める計画である.バリアントの解析の後には,ELISA法による多数例での解析を予定しているが,解析が困難な場合には,Western blottoing法による定量による比較を計画している.また,microRNA候補についてのqPCR解析については,条件設定を慎重に検討し,多数例での解析を進める予定である.
候補分子につては,剖検脳を用いた免疫組織学的な解析を行い,病態との関連を検討するととも臨床亜型による相違を含めた臨床症状との関連を解析する計画である.

次年度使用額が生じた理由

ショットガンプロテオミクスによって得られたPSPに特異的な候補についてpathway解析の結果を踏まえ候補分子を絞り,多数例でのvalidation研究を予定しているが,候補分子には複数のバリアントを有するタンパクも含まれており,Western blottingなどを含めた検討を行いながら進めているために本研究費の次年度使用額が生じてしまった.また,Covid-19の影響のために試薬が入手し難い状況であることも影響している.
候補分子についてバリアントの検討も含め検討した後にELISA法による多数例の解析を予定している.試薬の入手が困難名場合には,Western blotting法による解析も検討する予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Cognitive and behavioral status in Japanese ALS patients: a multicenter study.2020

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Y, Raaphorst J, Izumi Y, Yoshino H, Ito S, Adachi T, Takigawa H, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Neurology

      巻: 267 ページ: 1321-1330

    • DOI

      10.1007/s00415-019-09655-9. Epub 2020 Jan 18.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Longitudinal study of PSP rating scale and clinical diagnosis in Progressive supranuclear palsy cases2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Takigawa,Takeshi Ikeuchi,Ikuko Aiba,Mitsuya Morita,Osamu Onodera,Takayoshi Shimohata,Takahiko Tokuda,Shigeo Murayama,Kazuko Hasegawa,Hisanori Kowa,Aya Tokumaru,Ritsuko Hanajima,Kenji Nakashima,JALPAC study group
    • 学会等名
      第60回日本神経学会学術集会
  • [学会発表] 頭痛患者におけるBody Mass Index (BMI)とPrognostic Nutritional Index (PNI)の検討2019

    • 著者名/発表者名
      瀧川洋史,中野俊也,花島律子
    • 学会等名
      第47回日本頭痛学会総会
  • [学会発表] 頭痛症状が前景にたったギラン・バレー症候群(GBS)の1症例2019

    • 著者名/発表者名
      阪田良一,瀧川洋史,渡辺保裕,花島律子
    • 学会等名
      第47回日本頭痛学会総会
  • [学会発表] 大脳皮質基底核症候群を呈したレビー小体病と考えられた症例2019

    • 著者名/発表者名
      阪田 良一, 瀧川 洋史, 足立 正, 金谷 優広, 渡辺 保裕, 花島 律子
    • 学会等名
      第106回日本神経学会中国・四国地方会
  • [図書] 非定型パーキンソニズムー基礎と臨床ー2019

    • 著者名/発表者名
      下畑享良,花島律子,瀧川洋史,平野成樹,他
    • 総ページ数
      242
    • 出版者
      文光堂
    • ISBN
      978-4-8306-1547-4

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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