研究課題/領域番号 |
19K07941
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
藤田 浩二 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (50749421)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | HBV / NTCP-1 / microRNA |
研究実績の概要 |
1. HBVが肝細胞内に侵入する際の細胞側の受容体がNTCP-1である.NTCP-1をトランスジェニックした肝細胞株であるHepG2-NTCPにmiR-6126をトランスフェクションし,NTCPの発現の変化をWestern Blotで評価した.その結果,miR-6126がNTCP-1の発現をタンパク質レベルで抑制していることが明らかになった.miR-6126のよるHBVの増殖抑制効果の機序の一つとして,miR-6126がHBVの細胞内への侵入を抑制している可能性が示唆された. 2. miR-6126によるNTCP-1の発現抑制の機構についても検討した.一般的にmicroRNAはタンパク質の遺伝情報を担うmessanger RNAに結合し,messanger RNAからのタンパク質の合成を阻害する.しかし,microRNAのデータベースであるmiRDBで検索した限りでは,NTCP-1のmessanger RNAには,miR-6126と結合する部位が存在しなかった. 3. 次に,NTCP-1の,mssanger RNAの安定性が,miR-6126の存在下で低下するかどうか,検討した.アクチノマイシンDをHepG2-NTCPに投与し,NTCP-1のmessanger RNAの転写を止めておいて,既存のNTCP-1のmessanger RNAの濃度の変化を調べた.その結果,NTCP-1のmessanger RNAの濃度は,miR-6126の存在下では,対照群に比べてより速く低下することが明らかになった.このことから,miR-6126が,NTCP-1のmessanger RNAを不安定化し,その結果としてNTCP-1の発現を抑制しているものと考えられた. 4. NTCP-1がHBVを細胞内に取り込むときにEGFRと結合し共役することが既に報告されている.そして,miRDBによると,miR-6126の予測標的遺伝子の一つがEGFRであった.miR-6126がEGFRの発現を抑制すること可能性について検討したが,miR-6126をトランスフェクションしても,EGFRのタンパク質レベルでの発現は変化しなかった.このことから,miR-6126によるHBVの増殖抑制機構において,EGFRの発現の変化は関与しないことが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では,miR-6126によるHBVの増殖抑制に関与する細胞内パスウェイを明らかにすることであった.NTCP-1はHBVが細胞内に侵入する際に必須の分子である.miR-6126がNTCP-1の発現を抑制するという知見は,miR-6126がHBVの増殖を抑制する可能性を明らかにする知見であり,かつ,いずれの媒体においても発表されていない新たな知見である.今後は,miR-6126によるNTCP-1の発現抑制の機構に関与するパスウェイが研究の焦点になる.
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今後の研究の推進方策 |
NTCP-1とmiR-6126が結合しない,従ってmiR-6126によるNTCP-1の発現抑制機構においては,両者の間に他の分子が介在していると考えられる.miR-6126を投与したときの細胞内microRNAを網羅的に解析し,NTCP-1に結合しうるmicroRNAの発現が増加していないかどうか,検証したい.
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