当初の計画に従い、miR-6126により発現の変化するmRNAを探索すべく、トランスクリプトーム解析を行った.具体的には、NTCPをトランスジェニックした肝細胞株であるHepG2-NTCPにmiR-6126またはNegative controlをリポフェクタミン法でトランスフェクションし、mRNAを抽出した.抽出したmRNAからcDNAライブラリーを作成し、次世代型シークエンサーでトランクリプトーム解析を行った.その結果,発現レベルの有意に変動する29遺伝子を同定した.miRNAの予測標的遺伝子がこの29遺伝子の中に含まれているかどうか、オンラインのデータベース (miRDB) で確認し.その結果,この29遺伝子には,miR-6126の予測標的遺伝子は含まれていなかった.すなわち、当該遺伝子のmRNAの5'末には、miR-6126が結合しうる相補的な配列は無い、ということであった.また、他のデータベースにて、miR-6126がmRNAのexon領域に結合できるかどうか、他のデータベース (Target Scan) で確認したが、やはりmiR-6126が結合しうる領域は、当該遺伝子のmRNAのexon領域には存在しなかった.そのため、miR-6126による29遺伝子の発現の変化は、miR-6126が当該遺伝子のmRNAに直接結合するのではなく、他の因子を媒介して当該遺伝子のmRNAの発現レベルを調節するものと考えられた.今回のトランスクリプトーム解析においては、20000種類を超える遺伝子について発現の変化を網羅的に解析しており、本解析を以てしても同定できない因子については、本研究で同定することは困難であると判断した.ルシフェラーゼレポーターアッセイによる、miR-6126と当該29遺伝子との結合性の確認については省略することとした.
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