研究実績の概要 |
<対象> 硝子体混濁のため、当院眼科で硝子体切除術を受けた患者の眼内還流液を濃縮・洗浄して眼内リンパ球浮遊液を作成し、CD4/CD8比、B細胞率、さらにはCD4およびCD8陽性Tリンパ球分画におけるCD25, CD27, CD28, CD45RA, CD57, CD127, CD197, CD279の発現を6-color FCMで解析した。同一患者の手術当日の末梢血Tリンパ球についても同様の解析を行い、眼内リンパ球との分画パターンを比較した。また、眼内各種サイトカイン濃度との関連も検討した。 <結果> 1)サルコイドーシスでは硝子体Tリンパ球CD4/CD8比>3.5であり、硝子体CD4+Tリンパ球は末梢血に比べてcentral memory T、effector memory TおよびT regの比率が高かった。CD8については絶対数が少ないが、末梢血に比べてcentral memory T, effector memory Tの比率が高く、terminal effectorが低かった。 2)B細胞性眼内リンパ腫と診断した症例では眼内IL-10/IL-6比は平均47.7であった。IL-10/IL-6比≧1.0を基準とすると、リンパ腫の診断における感度は72.2%であった。従来報告されている感度より低く、FCMとの組み合わせ(B細胞比率≧5%、表面免疫グロブリン軽鎖κ/λ比偏重あり)で診断することで、診断精度が向上するものと考えられた。なお、FCMで得られた項目との多変量解析では、IL-10とCD4に正の相関、CD8に負の相関がみられたが、症例を増やして確認する必要がある。B細胞比率(CD19あるいはCD20)とIL-10の濃度には相関は見られなかった。
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