研究実績の概要 |
新たに開発した呼吸音の自動解析システムを用いて、患者の呼吸音データを録音し、クラウド化し多職種間・施設間で共有することにより、チーム医療や病診連携における有用性を検討することを目的とした。本研究では日本、米国、イスラエルを含めた遠隔地で無線聴診器→iphone/アンドロイド携帯(4G/WIFI)→クラウドシステム→iphone/アンドロイド携帯(4G/WIFI)によるリアルタイムの聴診音源の共有が可能であることが確認できた(Seidel E, Luski S, Ribak Y, Nama A, Saraya T et a。。Antimicrob Resist Infect Control. 2020 )。在宅医療の現場で医師、訪問看護師により無線機能のある新たな聴診器を使用しリアルタイムな呼吸音データの共有が可能であると考えられた。 しかしながら、研究期間中に発生したCOVID-19の流行と医療機関の診療制限、通常診療の圧迫が生じた。肺音収集は50症例ほどであるが、COVID-19においても病初期、治癒期で肺音の時相が異なる可能性を確認した(Noda A, Saraya T et a。。Intern Med. 2020 )。遠隔システムの活用は隔離個室での肺音の集音や集音の際の雑音の混入率が高いことが判明した。無線聴診器から携帯を介さずにWIFIで直接クラウドシステムにデータを飛ばすことが今後の課題である。本システムの肺音は呼吸器病レジデントアニュアル第6版(分担執筆、医学書院)、聴診ポイントから診断アプローチまで(皿谷,南江堂)、Dr皿谷の肺音聴取道場(皿谷、ケアネット)にも収載された。
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