研究課題/領域番号 |
19K07955
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
三澤 園子 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (30375753)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | POEMS症候群 / 血管内皮増殖因子 / 自家移植 / 免疫調整薬 / プロテアソーム阻害薬 |
研究実績の概要 |
POEMS(クロウ・深瀬)症候群は、ニューロパチーを中核に、胸・腹水、内分泌異常、皮膚変化、浮腫などの特異な組み合わせの症候を呈する重篤な疾患である。病態にはまだ不明の点が多いが、モノクローナルな形質細胞増殖と血管内皮増殖因子(VEGF)の過剰産生が病態の中心であると考えられている。適切に治療されない場合、四肢麻痺と多臓器不全により、機能・生命予後は著しく不良である。同様の形質細胞関連の疾患である骨髄腫の治療が奏功すると考えられ、試みられている。しかし複数の治療手段のいずれをどのように選択すべきかの指針は構築されていない。ランダム化群間比較試験により、有効性と安全性が示されている治療薬は、現時点ではサリドマイドのみである。また若年例では自家移植が第一選択に相当する治療であると考えられている。 本研究の目的はPOEMS症候群の至適治療戦略の構築である。現在解決すべき課題は、①サリドマイド抵抗例における治療選択肢の探索、②新規の各骨髄腫治療薬の本症候群における有効性と安全性の検討、③自家移植の適応基準の作成である。今年度はサリドマイド抵抗例におけるレナリドミドの有効性についての臨床試験の結果について公表した。また、新規治療薬であるボルテゾミブ、ダラツムマブ等の有効性と安全性について検討を進めている。自家移植の適応基準の検討については、治療開始時の重症度と初回治療への反応性に基づいた適応基準を作成し、論文作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
POEMS症候群の各新規治療の有効性と安全性についての検討は、ほぼ予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
新規治療薬の有効性と安全性についての研究を引き続き進める。新規治療の選択肢としては、ボルテゾミブ、ポマリドミド、ダラツムマブ等が挙げられる。現在、ボルテゾミブについては、論文作成を進めている。治療抵抗の難治例に対して、ダラツムマブ、ポマリドミドによる新規治療を実施中である。 その他、米国、英国との国際チームで、POEMS症候群の治療についてのCochrane database systematic reviewの更新作業を開始しており、来年度に編集予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの流行等により、一部の研究活動の休止や遠隔地での会議開催の中止が生じたことにより、次年度使用額が生じた。コロナ禍は今後もしばらく持続する見込みである。その前提で、研究計画の修正や他施設研究者との討議の方法等を工夫し、研究を遅滞なく進めるよう努める。
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