研究課題/領域番号 |
19K07957
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小澤 鉄太郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (10377153)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | シヌクレイノパチー / 自律神経障害 / 口腔微生物 / 神経毒 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、コロナ禍のため新規パーキンソン病(PD)症例のエントリーには困難が伴い、5例(男性3例、女性2例)を追加することができ、昨年度からの通算18例(男性11例、女性7例、平均年齢71.1歳)について評価し得た。昨年度に引き続き唾液中の歯周病原性細菌として、A. actinomycetemomitans、P. intermedia、P. gingivalis、T. forsythensis、T. denticola、F. nucleatum の6菌種について定量検査を行った。PD18例の唾液中における口腔内総菌数の対数値(Logコピー/10μl唾液)は、5.6から7.0の間で推移し、総菌数の実数値の 平均は427万(コピー/10μl唾液)であった。A. actinomycetemomitansの菌数の対数値は、18例中17例において1.0未満であり検出閾値未満であり、1例のみ2.1を示した。P. intermediaの対数値が1.0を越えた症例は9例、P. gingivalisの対数値が1.0を越えた症例は11例、T. denticolaの対数値が1.0を越えた症例は11例であった。T. forsythensisの対数値が1.0を越えた症例は16例で、その菌数の実数値の平均は381 (コピー/10μl唾液)であった。F. nucleatumの対数値は18例全例で1.0を越え、その菌数の実数値の平均は97,227 (コピー/10μl唾液)であった。 これらの結果をふまえて、PD症例の唾液中の歯周病原性細菌としては、F. nucleatumが他の細菌よりも優位に存在する可能性があるのではないかと考えている。現状では、総細 菌数ならびにF. nucleatumの菌数と、嗅覚低下の程度ならびに自律神経障害の重症度との間に相関は見られていない。さらに症例数を増やす必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度はコロナ禍のため、新規症例のエントリーが進まず、研究の主軸である口腔細菌定量検査のための唾液採取が困難な状況であった。それによって、研究全般にやや遅れていると評価せざるを得ない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度もコロナ禍はある程度継続すると考えられるが、研究対象となる症例数を10例以上は増やすよう、新規のパーキンソン病患者のエントリーを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大のため、当初予定された国際学会への出張旅費の支出が無かったため、次年度使用額が生じた。次年度において研究推進と発表の促進のため、物品費や英文校閲費用に当てたい。
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