研究課題/領域番号 |
19K07958
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
坂井 健二 金沢大学, 附属病院, 助教 (00572306)
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研究分担者 |
濱口 毅 金沢大学, 附属病院, 講師 (70452109)
山田 正仁 金沢大学, 医学系, 教授 (80191336)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳アミロイドアンギオパチー関連炎症 / アミロイドβ蛋白 / 炎症 |
研究実績の概要 |
脳アミロイドアンギオパチー(CAA)関連炎症の症例の脳脊髄液の収集について、教室ホームページなどを通じてCAA関連炎症の脳脊髄液を含めた検体の収集を行っていることを継続的にアピールした。既に10症例の検体(一部の症例では治療前後の検体あり)を保存しているが、新たにCAA関連炎症疑いの1症例の脳脊髄液を追加し、もう1例についても治療前後の脳脊髄液を他の施設より提供いただく予定となっている。当初の計画では15症例分の脳脊髄液の収集を予定しており、合計で12症例分の検体が本研究に利用できる状態となる予定である。 本研究で使用するアルツハイマー病モデルマウスについて、当初はAPP23マウスの使用を予定していたが、ヒトのアルツハイマー病のモデルとしてより適切であると考えられているAPPノックインマウスの使用を検討した。APP (NL-F/NL-F)のAPPノックインマウスでは脳血管へのAβ沈着が認められる事がわかっているが、より早期にAβの沈着が大脳皮質に出現するAPP (NL-G-F/NL-G-F) マウスについて、血管へのAβの沈着の程度に関する病理学的な検討を行い、8ヶ月齢マウスにおいて大脳皮質に加え脳血管でのAβ沈着を確認した。 CAA関連炎症やコントロールとして使用する症例における脳脊髄液の抗Aβ抗体の測定について、市販のELISAキット(amyloid β auto-Aβ (serum) ELISA)の利用を予定していたが、キットの販売が突然中止となり一切使用できない状態となった。そのため、ELISA法を用いて、脳脊髄液や血清の抗Aβ抗体を測定する実験系を新規に確立し、予備実験としてヒト血清において抗Aβ抗体の測定が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画ではCAA関連炎症の脳脊髄液検体を合計15症例分収集する予定としており、既に利用可能な検体と併せて、12症例分(当初計画の80%)が利用可能な状態になる予定である。我々の疫学的な報告ではCAA関連炎症はわが国での推定患者数が170名と極めて稀少な疾患であり、本研究に必要な検体の収集は順調であると判断している。 動物実験に使用するアルツハイマーモデルマウスは当初の計画と変更しAPPノックインマウスを使用することを検討している。病理学的な解析に若干の遅れがみられるが、APPノックインマウスの大脳皮質へのAβ沈着は2ヶ月後より出現することがわかっており、本研究の遂行に問題はないと考えている。 脳脊髄液の抗Aβ抗体測定については、利用予定であった市販のキットが販売中止となったが、新規に抗Aβ抗体をELISA法で測定する実験系の確立に成功したため、今後予定している実験には影響はないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今回新たに確立した抗Aβ抗体測定系用いて、脳脊髄液でも抗体を測定できるかどうかを確認する。教室ホームページなどを用いて脳アミロイドアンギオパチー(CAA)関連炎症の症例の脳脊髄液収集を継続する。動物実験に利用する予定であるAPPノックインマウスの血管病変等について病理学的な検討を行い、研究計画通りにマウス脳への濃縮した脳脊髄液の投与を開始する。
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