研究課題/領域番号 |
19K07960
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
原 一洋 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80748369)
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研究分担者 |
勝野 雅央 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50402566)
川畑 和也 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60837409)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多系統萎縮症 / 頭部MRI / 認知症 |
研究実績の概要 |
多系統萎縮症(MSA)の診断で使用される第2回コンセンサス声明における診断基準のなかでPossible MSAは孤発性で、進行性で、成人発症に加えて、パーキンソン症状や小脳症候群の運動機能異常があり、自律神経不全、Adiitional featuresが必要である。特にAdditional featuresには頭部MRIでの被殻、中小脳脚、橋、小脳の萎縮、FDG PETでの被殻、脳幹、小脳の代謝低下、シナプス前黒質線条体ドパミン作動性脱神経など画像所見がある。このように日常的に使用される本診断基準では頭部MRIやPETなど画像のもつ意味は大きい。しかし本診断基準は高い特異度と陽性的中度を示すものの感度は高くなく、病態抑止治療を含めた複数の臨床治験の結果から早期診断に資する臨床指標の確立、更にはバイオマ-カ-の開発が極めて重要であることが指摘されている。 一方特にコネクトームからみた頭部MRIの解析手法はコンピューター技術などの進歩により急速に進んでいる。更に前述の頭部MRI所見については評価者間によりばらつきが出てきてしまうことが問題であり、最近では主観的な評価からより客観的な評価が出来る方法が開発されてきている。そこで今回我々は名古屋大学脳とこころの研究センターの健常リソースを使用し個別の頭部MRI解析と他の画像における関連を調査し、その結果からMSAにおける早期診断に資する臨床指標やバイオマ-カ-の開発を試みた。 そこで本年度は新規個別脳容積解析手法を用い、MSA患者38名(MSA-parkinsonism: 15名、MSA-cerebellar: 23名)を対象に、MSAの画像的特徴である被殻や橋萎縮の所見を検討したところ、新規画像解析では37名(97.4%)で被殻や橋萎縮を認め、従来の脳MRIにおける肉眼的評価よりも高率に異常を検出することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回我々は名古屋大学脳とこころの研究センターの健常リソースを使用し個別の頭部MRI解析と他の画像における関連を調査し、その結果からMSAにおける早期診断に資する臨床指標やバイオマ-カ-の開発を試みるため、本年度で新規個別脳容積解析手法を用い、MSA患者38名(MSA-parkinsonism: 15名、MSA-cerebellar: 23名)を対象に、MSAの画像的特徴である被殻や橋萎縮の所見を検討したところ、新規画像解析では37名(97.4%)で被殻や橋萎縮を認め、従来の脳MRIにおける肉眼的評価よりも高率に異常を検出することが出来た。そのため頭部MRIについての解析などの有用性は確認できており、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
新規個別脳容積解析手法を用い、MSA患者38名(MSA-parkinsonism: 15名、MSA-cerebellar: 23名)を対象に、MSAの画像的特徴である被殻や橋萎縮の所見を検討したところ、新規画像解析では37名(97.4%)で被殻や橋萎縮を認め、従来の脳MRIにおける肉眼的評価よりも高率に異常を検出することが出来た。そのため今後は他の画像所見を確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)予定していた検査がコロナの影響で、一部、行うことができなかったため。 (使用計画)延期になっている検査費用に充当する予定である。
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