研究課題/領域番号 |
19K07967
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
日出山 拓人 東京医科大学, 医学部, 講師 (30511456)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / ALS / GluA2 / AMPA受容体 / RNA編集 |
研究実績の概要 |
私たちは,これまで約30例の孤発性ALS例と疾患対照,正常対照例の剖検組織の検討からグルタミン酸受容体サブユニットであるGluA2 のRNA編集異常が疾患特異的に生じていることを明らかにしました.また,この分子異常が下位運動ニューロンの脊髄運動ニューロン死の直接原因になることをコンディショナルノックアウトマウスの動物実験から明らかにし,孤発性ALSのモデル動物を確立しました.このモデル動物を利用した結果,効果が認められたペランパネルの臨床治験が開始されました. これらをふまえて, RNA編集異常が下位運動ニューロンである脊髄運動ニューロンのみではなく,上位運動ニューロンを含む大脳の神経細胞死の原因となっているのかとどうか,上述した疾患モデルマウスを用いて調べることにしました. その結果,上位運動ニューロンである大脳でも下位運動ニューロンの脊髄と同様の神経細胞死が生じていることが分かりました.このことは,孤発性ALSにおいて上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの変性が同じメカニズムで生じている可能性が高く,今後の発症メカニズムに基づいた分子標的治療法を検討する上で重要な知見になると考えられました.つまり,共通のメカニズムであれば,運動ニューロン選択的にGluA2 Q/R部位のRNA編集を回復できれば下位運動ニューロンのみでなく上位運動ニューロンにも効果があり,ALSの治療法の開発に向けてさらに1歩進むことが出来るということです. 現在,全く同様のメカニズムであるのかどうか,他の因子が加わっているのかどうか,多面的な解析を行い,同様な点,異なった点を明らかにすべく,研究を続けているところです.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験に必要なノックアウトマウスの継代も軌道に乗り,免疫組織化学的実験を中心に上位運動ニューロン全体の検索を進めている.外来医長としてCOVID-19対策のための外来管理,入院対応,ホテル待機者管理業務,ワクチン接種,電話診療,PCR検体採取業務といった業務が増大し,スタッフもCOVID-19診療,業務が増え,実験を行う時間・人員が昨年度よりさらに減少した.そのため,計画的に実験を進めることでおおむね順調に計画を遂行している.
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今後の研究の推進方策 |
ADAR2コンディショナルノックアウトマウスの解析から上位運動ニューロンにおいても下位運動ニューロンと同様の神経細胞死が生じていた.解析マウス数を増やし,上位運動ニューロン全般の検索,神経細胞死を来たす原因について免疫組織学的,病理学的検査を進めていく.また,分子生物学的手法を用いて,RNA編集異常について検索を継続する.これらの病因解析から治療に結びつくカスケードの発見に努めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の抗体購入,動物実験機材の購入にあてる予定である.
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