研究課題/領域番号 |
19K07968
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
北川 一夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70301257)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / 遠隔虚血コンディショニング / 側副血行 |
研究実績の概要 |
マウス永久閉塞モデルにおける遠隔虚血コンディショニングの効果をMRI拡散強調画像により評価される早期虚血病変サイズ、24時間後の梗塞体積、神経症状より検証することを目的とした。成熟C57BL/6マウスを用いて左中大脳動脈(MCA)を露出させ閉塞した。MCA閉塞から脳皮質血流を虚血中心部と周辺部でレーザードプラ血流計でモニターした。遠隔虚血負荷群はMCA閉塞30分後から両側下肢鼠径部でカフを用いて200mmHgの負荷をかけ、5分間駆血、5分間解放を4回反復した。遠隔虚血負荷は1日1回実施した(RIC群)。対照群は遠隔虚血負荷なしで同じ時間麻酔をかけた群とした(Sham群)。小動物用1T-MRIを用いた早期虚血病変の評価は遠隔虚血負荷直後または偽負荷直後(MCA閉塞から90分後)に行った。遠隔虚血負荷または偽負荷後の虚血中心部の血流(%)はSham群、RIC群とも同様に低下していたが、周辺部の血流(%)は、Sham群、RIC群で49.8±13.9、61.9±19.5でRIC群で有意に増加していた。MRIでの早期虚血病変のサイズ(mm3)は、Sham群、RIC群で47.9±4.2、37.3±5.4でRIC群で有意に縮小していた。24時間後の梗塞体積(mm3)はSham群、RIC群で44.3±4.6、32.4±5.3でRIC群で有意な縮小をみとめた。72時間後梗塞体積(mm3)はSham群、RIC群で48.1±6.8、40.4±5.3とRIC群で有意な縮小をみとめ、神経症状はRIC群で軽減する傾向がみられた。マウス中大脳動脈永久閉塞モデルにおいて、遠隔虚血コンディショニングを1日1回行うことで脳保護効果が観察された。本モデルにおける遠隔虚血コンディショニングの保護効果は、脳軟膜側副血行発達を介した早期虚血病変の軽減効果と関連することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遠隔虚血コンディショニングの脳保護効果は脳軟膜側副血行発達を介した早期虚血病変の軽減効果と関連し、遠隔虚血負荷により側副血行維持を虚血発症後数日間継続することを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
遠隔虚血負荷の脳や心臓保護効果には、液性因子、免疫調整因子、神経刺激の関与が想定されているが、詳しいことはわかっていない。我々は、脳血管内皮の関与を想定しており、今後一酸化窒素(NO)合成酵素阻害薬等を用いた実験を予定している。現在までは健常な成熟マウスを用いて検討したが、老齢マウス、高血圧・糖尿病等の病態モデルマウスを用いて検討する予定である。また、ヒト脳梗塞患者においても上肢または下肢への虚血負荷を行った際の脳循環動態を経頭蓋超音波ドプラを用いて検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスでの観血的血圧測定のための圧センサーを購入して 一酸化窒素合成阻害薬を用いた実験を予定しているため
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