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2022 年度 実施状況報告書

候補遺伝子アプローチによる筋萎縮性側索硬化症病態関連遺伝子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K07973
研究機関愛知医科大学

研究代表者

中村 亮一  愛知医科大学, 医学部, 講師 (80723030)

研究分担者 藤内 玄規  愛知医科大学, ALS治療研究開発部門, 助教 (00748353)
勝野 雅央  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50402566)
熱田 直樹  名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90547457) [辞退]
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード筋萎縮性側索硬化症 / 遺伝子変異 / 次世代シークエンサー / VCP / KIF5A / SOD1 / FGF1 / THSD7A
研究実績の概要

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は代表的な神経難病であるが、近年病態関連遺伝子が数多く同定されている。30種類以上判明しているALS関連遺伝子はRNA代謝やタンパク質品質管理などの機能に分類でき、依然謎であるALSの病態解明と根治的治療法開発の重要な手がかりになりつつある。しかし判明したALS関連遺伝子の多くは家族性ALSの解析から同定されており、大部分を占める孤発性ALSの関連遺伝子は十分に分かっていない。より多くのALS関連遺伝子を探索同定する必要があるが、通常そのためには数千例以上の規模でのゲノムワイド関連解析が必要であり、容易ではない。しかしパーキンソン病とゴーシェ病との関連のように、異なる疾患の関連が遺伝子により示される場合があり、その発想を用いた候補遺伝子アプローチにより、効率よくALS関連遺伝子を探索同定できる可能性がある。
本研究では、多数のALS患者のDNA検体及び縦断的臨床像を用いて、ALS以外の神経変性疾患、筋疾患、末梢神経疾患の関連遺伝子の網羅的解析を行い、それらの変異とALSとの関連を明らかにする。
令和4年度においては、孤発性ALS 1076例の網羅的遺伝子解析データを用いて、ALSの生存期間に影響する遺伝子を複数同定し、患者由来のiPS細胞を用いて病態を再現した。それらの成果をまとめ、令和4年3月の時点で論文投稿中である。また、既知の神経疾患に関連する遺伝子とALSとの関連がないか解析を進めている。
また、ALS患者1,077例の全ゲノム解析データを解析し、5つの遺伝子に病原性が疑われるリピート伸長変異を認めた。また、既知の脊髄小脳変性症原因遺伝子のリピート伸長変異を複数の症例に認めている。また、他にも複数の疾患関連遺伝子の候補を見いだしており、それらの機能解析をすすめている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

既に当初予定していた症例を上回る例数の孤発性ALS患者に対して網羅的な遺伝子解析を施行したが、令和4年度は研究室内でのCOVID-19の流行及び研究代表者のCOVID-19感染により、実験や研究が行えない期間が計2ヶ月程あり、想定よりも研究が進まなかった。
抽出されたvariantを今日までにALSやFTLD、認知症、遺伝性痙性対麻痺、末梢神経障害、筋疾患の発症の原因として同定されているもの、ALSや上記疾患の発症には無関係であると同定されているもの、またそのどちらでもないものに分類し、それぞれサンガー法で変異の有無を確認している。いくつか疾患関連遺伝子の候補を見いだしており、それらの機能解析も進めている。

今後の研究の推進方策

令和5年度も引き続き、遺伝子解析未施行の残りの孤発性ALS検体に対して網羅的なシーケンスを行った上で抽出されたvariantについての解析を施行する。また、現在見いだしている疾患関連遺伝子の候補に関して分子生物学的検討を行ったり、variantを持つ症例と臨床像との関連も検討する。臨床像との関連が判明したvariantを持つALS患者に対して剖検が施行されていれば、病理学的検索を行い、患者由来のiPS細胞を用いて病態解明につながる検索を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響をうけ、国際学会、国内の学会の多くがウェブ開催となった。そのため、他の研究者との議論や情報交換もできなかった。また、予定していたサイトライセンス使用料を別の研究費で賄うことができた。
令和4年度は研究室内でのCOVID-19の流行、また、研究代表者や家族のCOVID-19感染により、実験や研究が行えない期間が計2ヶ月程あり、想定していたよりも研究が進まず、試薬の使用量も少なかった。今年度は実験試薬の購入や論文執筆、投稿に必要な費用に充当する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] The<i>SYNGAP1</i>3′UTR Variant in ALS Patients Causes Aberrant<i>SYNGAP1</i>Splicing and Dendritic Spine Loss by Recruiting HNRNPK2022

    • 著者名/発表者名
      Yokoi Satoshi、Ito Takuji、Sahashi Kentaro、Nakatochi Masahiro、Nakamura Ryoichi、Tohnai Genki、Fujioka Yusuke、Ishigaki Shinsuke、Udagawa Tsuyoshi、Izumi Yuishin、Morita Mitsuya、Kano Osamu、Oda Masaya、Sone Takefumi、Okano Hideyuki、Atsuta Naoki、Katsuno Masahisa、Okada Yohei、Sobue Gen
    • 雑誌名

      The Journal of Neuroscience

      巻: 42 ページ: 8881~8896

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.0455-22.2022

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Convenient Auditory-Based Language and Executive Function Test for Patients With Amyotrophic Lateral Sclerosis: A Pilot Study2022

    • 著者名/発表者名
      Ohdake Reiko、Watanabe Hirohisa、Kawabata Kazuya、Ogura Aya、Sato Maki、Tanaka Yasuhiro、Imai Kazunori、Masuda Michihito、Kato Toshiyasu、Yokoi Takamasa、Hara Kazuhiro、Nakamura Ryoichi、Atsuta Naoki、Nakagawa Masafumi、Katsuno Masahisa、Sobue Gen
    • 雑誌名

      Archives of Clinical Neuropsychology

      巻: 38 ページ: 57~71

    • DOI

      10.1093/arclin/acac069

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 【神経疾患とゲノム医療】個別病態・疾患のゲノム医療 筋萎縮性側索硬化症2022

    • 著者名/発表者名
      中村 亮一, 熱田 直樹, 祖父江 元
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience

      巻: 40 ページ: 1138~1142

  • [雑誌論文] Clinical Features of Female Carriers and Prodromal Male Patients With Spinal and Bulbar Muscular Atrophy2022

    • 著者名/発表者名
      Torii Ryota、Hashizume Atsushi、Yamada Shinichiro、Ito Daisuke、Kishimoto Yoshiyuki、Moriyoshi Hideyuki、Inagaki Tomonori、Nakamura Ryoichi、Nakamura Tomohiko、Naoi Tameto、Morita Mitsuya、Katsuno Masahisa
    • 雑誌名

      Neurology

      巻: 100 ページ: e84~e93

    • DOI

      10.1212/WNL.0000000000201342

    • 査読あり
  • [学会発表] SOD1-G93S変異陽性筋萎縮性側索硬化症患者の臨床遺伝学的特徴2022

    • 著者名/発表者名
      中村 亮一, 中杤 昌弘, 熱田 直樹, 藤内 玄規, 伊藤 大輔, 和泉 唯信, 橋本 里奈, 饗場 郁子, 溝口 功一, 金井 数明, 青木 正志, 柴田 俊, 伊藤 千弘, 湯淺 知子, 徳井 啓介, 川頭 祐一, 丹羽 淳一, 道勇 学, 勝野 雅央, 祖父江 元
    • 学会等名
      第63回日本神経学会学術大会
  • [学会発表] ALSに対するprecision medicineに向けて2022

    • 著者名/発表者名
      熱田 直樹, 中村 亮一, 藤内 玄規, 祖父江 元
    • 学会等名
      第63回日本神経学会学術大会
  • [学会発表] Two novel variants in CHCHD2 associate with TDP-43 pathology among amyotrophic lateral sclerosis2022

    • 著者名/発表者名
      Aya Ikeda, Manabu Funayama, Mari Yoshida, Yuanzhe Li, Tsuyoshi Inoshita , Kahori Shiba-fukushima, Hongrui Meng, Taku Amo, Ikuko Aiba, Yufuko Saito, Naoki Atsuta, Ryoichi Nakamura, Genki Tohnai, et al.
    • 学会等名
      第63回日本神経学会学術大会
  • [学会発表] SOD1-G93S変異陽性筋萎縮性側索硬化症患者の臨床遺伝学的及び病理学的特徴2022

    • 著者名/発表者名
      中村 亮一、中杤 昌弘、陸 雄一、 熱田 直樹、藤内 玄規、伊藤 大輔、和泉 唯信、橋本 里奈、饗場 郁子、溝口 功一、金井 数明、青木 正志、徳井 啓介、川頭 祐一、丹羽 淳一、 道勇 学、 岩崎 靖、 吉田 眞理、 勝野 雅央、祖父江 元
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第67回大会

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公開日: 2023-12-25  

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