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2020 年度 実施状況報告書

ATXN8OS関連筋萎縮性側索硬化症における介在蛋白同定とiPS細胞モデル治療

研究課題

研究課題/領域番号 19K07984
研究機関近畿大学

研究代表者

平野 牧人  近畿大学, 医学部, 准教授 (50347548)

研究分担者 竹原 俊幸  近畿大学, 大学病院, 助教 (60580561)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード非翻訳領域反復配列延長
研究実績の概要

本研究は、ATXN8OS関連ALSの病態に関連する蛋白の同定とiPS細胞由来の運動ニューロンモデルの構築と治療法開発を目指す。さらに、ブレインバンクから検体を提供いただき、病理組織も用いて結果を検証した。ATXN8OS変異陽性者が昨年度同定されたが、さらに病態の解析を進めたところ、小脳歯状核にグルモース変性が観察された。これは、通常の小脳失調を呈するSCA8では、ほとんど見られない所見である。次にATXN8OS変異陽性患者の人工多能性幹 (iPS)細胞1例では既にiPS細胞の樹立は終了している。このATXN8OS変異陽性患者のiPS細胞の運動ニューロンへの誘導を行い、運動ニューロンへ誘導することができ、現在、形態的な変化は少ないことが分かった。生化学的な性質を現在解析中である。さらに、iPS細胞由来運動ニューロンの染色とrepeat-associated non-AUG (RAN) 翻訳の確認を行っていくために、ポリセリンに続くアミノ酸配列、およびポリアラニンに対するポリクローナル抗体を作成し、病理組織にて染色を行ったところ、一部構造物に集積が見られた。また、RAN翻訳にて生じるポリアミノ酸と関連する蛋白の同定のために、GFP融合の正常長ATXN8OSを発現するプラスミドベクターを構築し、その発現を確認したところ、リピートに続くGFPの発現が認められた。ヒト前頭葉におけるATXN8OSの発現については、いくつかのプライマーにてRT-PCRを行うも、その発現量が少ないことが判明。一方、その相補鎖であるATXN8では発現が確認された。iPS細胞由来運動ニューロンへの治療介入のため、3種類のsiRNAと3種類のアンチセンス核酸を設計・作製し、現在線維芽細胞において発現抑制が可能かの予備実験を行ったが、もともとの発現量が少ないため、有意な低下かの検証を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

病理組織での免疫染色による解析も始まり、siRNAによる発現抑制も患者iPS細胞由来運動ニューロンにて開始しているので。

今後の研究の推進方策

今年度の研究にて、世界に先駆けて病理学的確定のATXN8OS遺伝子陽性例が同定できたたが、現在新規抗体の反応性について、どの細胞にあるのかを検証する。2例の新規患者さんも同定され、本疾患が、さらに多く存在していることが分かった。今後、病気に関連する前頭葉におけるATXN8OS発現とそのアンチセンスになるATXN8発現を比較しながら、定量方法をさらに鋭敏にする予定である。発現の抑制はiPS細胞由来の運動ニューロンにて検討中である。また、ベクターを構築し、発現が確認できたので、細胞実験で結合蛋白の同定を行っている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Phenotypic and molecular diversities of spinocerebellar ataxia type 2 in Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Inada Rino、Hirano Makito、Oka Nobuyuki、Samukawa Makoto、Saigoh Kazumasa、Suzuki Hidekazu、Udaka Fukashi、Hashiguchi Akihiro、Takashima Hiroshi、Hamada Yukihiro、Nakamura Yusaku、Kusunoki Susumu
    • 雑誌名

      Journal of Neurology

      巻: 268 ページ: 2933~2942

    • DOI

      10.1007/s00415-021-10467-z

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rasagiline monotherapy improves swallowing in patients with Parkinson's disease2020

    • 著者名/発表者名
      Hirano Makito、Isono Chiharu、Samukawa Makoto、Fukuda Kanji、Kusunoki Susumu
    • 雑誌名

      Parkinsonism & Related Disorders

      巻: 78 ページ: 98~99

    • DOI

      10.1016/j.parkreldis.2020.07.010

    • 査読あり
  • [学会発表] 神経筋疾患の嚥下障害     ~基本から最新知見まで~2021

    • 著者名/発表者名
      平野牧人
    • 学会等名
      第61回日本神経学会
    • 招待講演
  • [学会発表] The first patient with pathologically-definite ATXN8OS-associated amyotrophic lateral sclerosis2020

    • 著者名/発表者名
      Makito Hirano, Shigeo Murayama, Yuishin Izumi, Makoto Samukawa, Tomoyasu Matsubara, Kazumasa Saigoh, Yusaku Nakamura, Susumu Kusunoki
    • 学会等名
      第61回日本神経学会

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公開日: 2021-12-27  

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