研究課題/領域番号 |
19K07985
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
谷脇 考恭 久留米大学, 医学部, 教授 (80284496)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 神経機能画像学 |
研究実績の概要 |
若年健常人10名を対象に、気流閉塞体感器を用いない非負荷時と、体感器を使用する負荷時の安静時機能的MRIを撮像した。MRIの撮影条件はTR 2sec、TE 30msec、flip angle 80度、1scan 34スライス、スライス幅4mm、Matrix 64x64、1 session は400秒(200scan)とした。対象が少ないので、感度の良い方法であるCONNとSPM (Statistical Parametric Mapping)、MATLABを併用した解析を採用した。まずDicom形式のMRI画像を、MRICRONを用いて4D NIFTIファイルに変換した。次にSPMを用いて、最初の10スキャン除去(初期の不安定なMRI画像を除去するため)、位置ずれ補正、スライスタイミング補正、標準脳の形への変形、スムージングを行った。次にCONN内のComCarを用いて動き・生理学的ノイズを除去した。1例で頭部の動きが大きく、検定から除外した。その上でROI to ROI解析を行った。気流閉塞体感器を用いる時と用いない時の直接比較では、有意差を認めなかった。しかしながら、呼吸困難感の臨床指標(Borg係数)との相関では島回と視覚野、前部帯状回と一次運動野とのconnectivity変化の傾向を認めた。そこで各症例を検討すると少数例で気流閉塞体感器を用いても呼吸困難感を感じない例、逆に気流閉塞体感器を用いなくても呼吸困難感を感じる例があることがわかった。そこでBorg係数上で呼吸困難感を感じる例と感じない例を比較すると、島回と視覚野、前部帯状回と一次運動野とのconnectivity変化の傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
気流閉塞体感器を使うためには、肺機能検査が必須である。しかし肺機能検査は新型コロナウイルス保因者からウイルス拡散をおこすため、呼吸器学会から禁止されている。そのため研究が進まなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染が終息しないと、研究が再開できない。再開できれば、もう10例を目標に対象数を増やしたい。その上で、感度は落ちるが特異度の高い解析(ICA解析)を行う予定である。具体的にはFSL(FMRIB Software Library, Oxford, UK)を用いて、位置補正、平滑化、標準化(ソフトの標準能に形を合わせ、 加算平均できるようにする)の後に、 Group ICA (independent component analysis)、dual regression、FSL Netを行 う。そして、呼吸困難時の安静時脳内ネットワークの解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大のため肺機能検査が行えず、機能的MRIの施行が中断しており、被検者に対する検査代、謝金が余った。新型コロナ感染が終息すれば研究再開の見込みである。
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