研究課題/領域番号 |
19K07989
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
瓦林 毅 群馬大学, 医学部, 非常勤講師 (90186156)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 認知症 / 免疫療法 / 組み換え植物 / ワクチン / アミロイド / Abeta / タウ |
研究実績の概要 |
アミロイドbeta蛋白(Abeta)のアミノ末端4-10を発現する組換えダイズ蛋白(Abeta+)を作成し、アルツハイマー病(AD)モデルマウスTgCRND8に投与した。生後9週から1mgのAbeta+と対照としてダイズ蛋白のみ(Abeta-)を経口アジュバントであるコレラトキシンサブユニットBと共に週に1回経口投与し,4週毎にMorris水迷路試験を行った。Abeta+免疫マウスではAbeta+に対する液性免疫および細胞性免疫が誘発され、さらにAbeta oligomer に対する抗体が検出された。Abeta+免疫マウスでは21週からAbeta-投与マウスに比べて学習障害の改善を認めた。Abeta+免疫マウスでは脳可溶性分画でAbeta oligomerの減少を認め、組織学的にもびまん性老人斑を中心に脳Abeta蓄積の減少を認めた。免疫療法で問題となっている脳髄膜炎や微小出血は認められなかった。よって我々の組換えダイズ蛋白による経口免疫療法は、神経毒性物質であるAbeta oligomerを減少させ,安全で有効なADの疾患修飾療法になりうることが示された。この結果はJournal of Alzheimer’s Disease誌に掲載された。 ワクチンの作用機序についてMass Spectrometryによる解析を行い,Abeta+免疫マウスの脳ギ酸分画中には断片化の少ない新規産生Abetaの蓄積が増加していることを認め、脳内非可溶性分画中へのAbetaの隔離が亢進していることが考えられた。この結果は日本認知症学会にて発表した。 さらにワクチン療法の評価のためにタウ測定のための新しいELISAシステムを開発した。このELISAは脳脊髄液中のタウを血液の混入があっても正しく測定することができた。この結果はNeuroscience Letters誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
免疫療法の最初の結果が得られ、その効果が確認された。その結果をJournal of Alzheimer’s Disease誌に投稿し、掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
マウス免疫療法とその解析を続け、その効果と作用機序を確認する。また、用量、アジュバント、投与法の変更などの検討を行なって、より効果的な免疫療法の方法を開発する。結果を公表してヒトを対象とした臨床治験への道筋をつける。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会の旅費請求が手違いで行えなかったため。 次年度使用額は物品に使用予定。
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