研究実績の概要 |
昨年に引き続き、アミロイドbeta蛋白(Abeta)のアミノ末端4-10を発現する組換えダイズ蛋白(Abeta+)のアルツハイマー病(AD)モデルマウスTgCRND8への投与を継続している。 ワクチンの効果を国際学会で発表し、製薬会社に臨床治験の開始に向けての相談を行っている。 ワクチンの経口投与によりAbeta oligomerに対する抗体がマウスの血中に検出された。この抗oligomer抗体が治療に使えるかどうか検討するために組み替え大豆蛋白に対するモノクローナル抗体を作成中である。 治療法の薬効評価のためにアルツハイマー病バイオマーカーの検討を続けている。昨年我々は脳脊髄液中に血液の混入があっても正しく測定することができる新規タウのELISAを開発したが、このELISAを用いて血液のタウを測定することができるか検討中である。 我々の参加するDominantly Inherited Alzheimer Network (DIAN)研究において家族性アルツハイマー病では217リン酸化タウと181リン酸化タウが脳タウ蓄積の20年前も前に脳脊髄液で増加することを示した(Barthlemy, et al., Nature Med 2020)。217リン酸化タウ、181リン酸化タウの抗体を作成して新たなELISA系を開発中である。また、ヒト脳、TgCRND8マウス脳における経時的な217リン酸化タウ、181リン酸化タウの蓄積を免疫染色で検討中である。 脳脊髄液中のAbetaをliquid chromatography mass spectrometry (LC-MS/MS)で測定し、従来のELISAと比較した。Abeta42とAbeta43はアルツハイマー病では正常に比べて有意に低下した。また、従来のELISAと比べて同等の結果が得られ、アルツハイマー病の有用なバイオマーカーになることを示した。この結果はJournal of Alzheimers Disease誌に掲載された(Seino, et al., J Alzheimers Dis2021)。
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