研究課題/領域番号 |
19K07990
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
作石 かおり 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70722685)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 多発性硬化症 / B細胞リンパ球 / T細胞リンパ球 / 濾胞性ヘルパーT細胞 / 疾患修飾薬 |
研究実績の概要 |
多発性硬化症は中枢神経系において再発を繰り返し多発する脱髄性病変を呈する炎症性疾患である。しかし、再発予防薬が奏功するものと抵抗性を示すものが存在し、また、早期より進行性の経過を呈するものなどもあり、その病態は均一ではなく、病態機序に即した治療が求められている。本疾患の疾患動物モデルなどから、T細胞リンパ球が脱髄性の炎症に大きな役割を果たしていると考えられているが、一方でリツキシマブなどに代表されるB細胞排除薬などの多発性硬化症患者において有効であることも知られている。さらに、過去並びに我々の先行研究からB細胞の活性化も疾患活動性に大きく関与していることが示唆されているが、これを反映するバイオマーカーは確立されておらず、どの患者でB細胞が増悪因子として関与しているのか詳細は明らかにはされていない。本研究ではB細胞の活性化因子と、B細胞の活性化に関与する濾胞性ヘルパーT細胞の双方に着目し解析を進め、治療抵抗性の多発性硬化症におけるB細胞サブセットの構成と活性化状態を評価し、さらにB細胞とT細胞の相互作用について検討している。B細胞の活性化が多発性硬化症の病態機序において果たす役割が明らかになり、臨床的な多様性の一端を担うことが判明すれば、そうした治療抵抗性の一群に対してB細胞標的治療を早期から導入することで治療成績が飛躍的に改善することが期待される。現在の再発予防薬抵抗性の病態の理解と、その疾患活動性コントロールの改善に大きく寄与することが出来ると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FACS機器の老朽化のため不安定で解析途中で中断することが多く患者サンプルの解析に至るまでに時間を要した。また後半は研究代表者の異動があり、研究室の移転に伴い研究を進めることが困難な時間が生じてしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
春より大学院生など人員が増え、昨年度以上のペースで研究を進めることが可能であると考えられる。患者検体での治療前後でのB細胞と濾胞性ヘルパーT細胞の活性化マーカー解析を進める。その後発現解析や共培養アッセイを行い機能解析を行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の異動に伴い予定通り研究を進めることが難しく次年度使用額が生じた。翌年度は異動先にて物品類の調達など研究継続のため当初想定していた以上の支出が見込まれ、本次年度使用額を有効に使用していく予定である。
|