進行性核上性麻痺(PSP)患者の脳脊髄液(CSF)内では、アルツハイマー病関連分子であるβアミロイド(Aβ)が健常高齢者にくらべ低下している。アルツハイマー病では42アミノ酸からなるAβ42のみが低下するのに対し、PSPではAβ42に加え、脳内でのAβ産生・CSFへの移行を反映するAβ38、Aβ40も低下している。培養細胞に変異型タウを発現させたPSPモデルではAβの産生(プロセッシング)が低下している。このようにPSPにおける病的tauの発現がAβ産生を低下させることから、CSF内ですべてのAβ種が低下する所見はPSPの診断バイオマーカーとして有用と考えられる。
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