研究課題/領域番号 |
19K07996
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 信太郎 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90312876)
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研究分担者 |
山崎 亮 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10467946)
小早川 優子 九州大学, 大学病院, 助教 (40733788)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / グリア性炎症 / ガレクチン3 / p22 |
研究実績の概要 |
研究計画調書に基づき1)~3)の実験を遂行した。1) 我々の先行研究でALSのバイオマーカーとなる可能性が示唆されたガレクチン3とp22について患者髄液中に検出可能かどうかELISA法で検討した。この結果 (平均±標準偏差、ng/mL)、ALS例 (n=10) 0.607±1.615、ALS mimics例 (n=5) 0.467±0.356、非ALS例 (n=8) 0.591±1.444であり、全群間比較で有意差はなかった。p22については全検体で測定感度以下であった。今後、超高感度デジタルELISA (single-molecule assay)を用いて更に解析を行う。2) ガレクチン3へのモノクローナル抗体を作成しSOD1-Tg mouse (G93A) (n=4)の髄腔内にポンプを用いて持続注入を行った。末期に相当する20週まで観察を行ったが、非注入群 (n=4)と比べてrotarod test、grip power test、体重変化、脊髄運動ニューロン病理について変化を認めなかった。3) ALS発症早期脊髄に特異的な新規ミクログリア関連蛋白を検出するために必要なreferenceを決定するために、まず発症後期脊髄(n=3)を用いてMALDI-TOF MS で解析した。この結果、3例ともm/z 615のピーク強度が増加しており、m/z655のピーク強度は減少していた。これは血液が混入しており、目的タンパク質の検出が困難となる可能性が示唆された。原因として剖検組織作成の際に血抜きが不十分だった事も考えられるが、ALSの炎症組織では血液脳関門の障害が観察されている。つまり技術的エラーでなく病態と関連して元々末梢血が組織に存在した可能性もある。この点を区別するために、今後m/z615と655のピーク強度の変化のない組織を選定し検討する必要があり調整している。
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