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2020 年度 実施状況報告書

筋萎縮性側索硬化症の病態を再現した新規モデル動物構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K08006
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

高橋 祐二  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 部長 (00372392)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード筋萎縮性側索硬化症 / ErbB4 / コンディショナルノックアウト / 運動ニューロン / 神経細胞死
研究実績の概要

【目的】筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病因遺伝子ERBB4の運動ニューロン(MN)特異的なノックアウトマウスを作成し、ErbB4の発現喪失がMN変性の直接原因であるという仮説をin vivoで検証する。
【方法】ChAT-CreERTマウスとErbb4flox/floxマウスの掛け合わせにより、純系のタモキシフェン依存性MN特異的コンディショナルノックアウトマウス(ChATCreERT-cKOマウス)を作製する。行動解析・神経生理学的解析・病理学的解析を行い、孤発性ALSのモデル動物としての妥当性を検証する。既知のALSの病態仮説における分子マーカーの挙動を解析するとともに、新規のMN変性関連分子の探索を行う。
【結果】B6系統に対してChATCreERTcKOマウスのN8バッククロスを行い、純系を確立した。タモキシフェンの至適濃度を再度検討し、純系ChATCreERTcKOマウスに対する投与を行って経過を観察した。投与後3ヶ月で明らかなクラスピングの障害を認め、表現型は現れているものと考えられたが、長期観察例(1年)においても死亡例は観察されず、生命予後には影響しないと考えられた。
【考察】純系ChATCreERTcKOマウスへのタモキシフェン投与により、投与後3ヶ月までは明らかな表現型の変化が見られるものの、長期的な生存には影響を与えないと予想されることから、観察期間として投与後3ヶ月に集中することで十分であると考えられた。現在タモキシフェン投与後3ヶ月の脊髄組織をサンプリングして、病理学的な解析を施行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナの影響で、動物実験施設の立ち入りが制限されたことから、研究の中断を余儀なくされたことが最大の理由である。タモキシフェン投与後の長期観察の研究を行うことしかできなかった時期が存在した。純系の維持・凍結胚の保存等、実験再開に向けた準備は十分行われていたので、立ち入り制限解除後はスムーズに研究を再開することができた。その後は現在に至るまで順調に研究は進捗している。

今後の研究の推進方策

① 純系ChATERT-cKOマウスの表現型・病理学的分析:a.行動解析 Clasping、Grip strengthなどの行動解析を行い、時系列の変化を明らかにする。b.病理学的解析 脊髄MNの変性を病理学的に検討する。TDP-43の局在異常、Bunina小体など、ALSの病理学的指標の出現の有無を検討する。
② 既知のALSの病態仮説における分子マーカーの分析:RNA代謝異常、オートファジー障害、ERストレス、核小体ストレス、興奮性神経毒性、軸索機能障害など、ALSの分子病態のマーカー分子の挙動を分析し、ChATERT-cKOマウスがこれらの病態を再現しているかどうかを検討する。
③ 新規MN変性関連分子の探索:ErbB4は癌遺伝子として知られているEGFRサブファミリーに属することから、細胞の増殖制御に関連していることが示唆される。本研究では、細胞増殖制御分子に着目し、ErbB4喪失によるMN変性過程における変化を免疫組織化学的に追跡することで、新たなMN変性関連分子を探索する。特に細胞周期チェックポイントであるp53およびCyclin-dependent kinase 関連タンパク質の時系列変化を追跡する。
以上、当初の予定通りに研究を遂行する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの感染対策のため研究の中断が余儀なくされ、当初の研究計画より遅延が生じた結果、次年度使用額が生じた。次年度は最終年度であり、次年度使用額も合わせて研究を遂行して当初の研究計画を達成する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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