研究実績の概要 |
脳内微小透析法を用いた研究において、SSRIであるsertraline (20mg/kg)とaripiprazole (3mg, 9mg)を併用した際にラットの側坐核における細胞外ドパミン濃度の増加を認めていることから、行動学的な観点からsertralineとaripiprazoleを併用した際のラットの抗うつ効果を検討した。Forced swim testにおいて、sertraline とaripiprazole (3mg, 9mg)群の併用は有意にスコアの減少を認め、反対に低用量のaripiprazole (0.3mg/kg)の併用においてスコアが高い傾向を示した。Tail suspension testにおいて、sertraline とaripiprazole (3mg, 9mg)群の併用はimmobility timeを延長させており、側坐核のドパミン増加という薬理学的な所見と行動学的な所見は一致しなかった。 Sertraline以外のSSRIやSNRIにおいて、aripiprazoleとの併用による脳内細胞外セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン濃度の変化が認められるかどうかを脳内微小透析実験を用いて検討中である。本研究を進めていくことで、臨床症状に適した合理的な薬剤選択につながると考えられる。 難治性うつ病患者を対象に、function MRIを用いた臨床研究(クロスオーバー試験)を2020年4月から行う予定であった。しかし、コロナウィルスの影響があ るため不要不急の検査を自粛している状況である。そのため、学内の倫理委員会へ臨床研究の申請を行うにとどめている。今後コロナウィルスが収束し、安全に検査を実施できる状況になった時点で研究を再開する予定である。
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