研究課題
電気けいれん療法(ECT; electroconvulsive therapy)は、薬物療法と比べると即効性がある上、効果量もより大きい治療法である。いわば実臨床の「最後の砦」であり、現在の生物学的精神科治療の「ポジティブコントロール」的な存在とも言えるが、作用メカニズムは未解明である。そのメカニズム解明をグリア血管複合体の観点から試みた。GunnラットにECTを施行し、血液脳関門としての重要な機能を担っている水イオンチャネルであるAQP(aquaporin)4の発現、および脳血管内皮細胞間におけるタイトジャンクション因子claudin-5の発現をタンパク質レベルで測定した。その結果、AQP4、claudin-5の発現は、共にECTによって有意に増加することを明らかにした。これらの結果から、ECTの効果発現メカニズムとして、グリア血管複合体の動態変化による血液脳関門の機能調節が関与している可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍で遅延していた研究を一定度、進捗させることができた。
来年度はこれまで得られた全てのデータの解析を終了し、科学的解釈を行い、学術会議で発表していく。
ECTによるAQP4とclaudin-5の発現変化についてmRNAレベルでの解析を終了する予定だったが、終了できなかったため、差額が生じた。これは来年度の物品費として利用する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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