研究課題
電気けいれん療法(ECT; electroconvulsive therapy)は、薬物療法と比べると即効性がある上、効果量もより大きい治療法である。いわば実臨床の「最後の砦」であり、現在の生物学的精神科治療の「ポジティブコントロール」的な存在とも言えるが、作用メカニズムは未解明である。そのメカニズム解明をグリア血管複合体の観点から試みた。先天的にグリアが活性化し、うつ病様の異常行動を呈するGunnラットにECTを計6回施行した。ECT施行後、強制水泳試験、尾懸垂試験を行った。またECT施行後、海馬における脳血管のアストロサイト終足による被覆率を蛍光顕微鏡を用いて定量化した。さらにECT施行後の海馬における水イオンチャネルAQP(aquaporin)4の発現、および脳血管内皮細胞間におけるタイトジャンクション因子claudin-5の発現をウェスタンブロットで半定量化した。その結果、ECTによってうつ病様の異常行動は改善し、海馬では脳血管のアストロサイト終足による被覆率が有意に増加し、AQP4、claudin-5の発現も共に有意に増加することが明らかになった。これらの結果から、グリア血管複合体の異常形成の是正によってECTの治療効果が発現している可能性が示唆された。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
J Integr Neurosci
巻: 22 ページ: 120
10.31083/j.jin2205120.
精神科
巻: 43 ページ: 401-405