研究課題/領域番号 |
19K08021
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
倉田 明子 広島大学, 病院(医), 助教 (30838769)
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研究分担者 |
吉野 敦雄 広島大学, 病院(医), 講師 (90633727)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / がんサバイバー / 予期不安 |
研究実績の概要 |
がんサバイバーの慢性疼痛に対する認知行動療法と神経科学的基盤の解明に関して、新型コロナウイルス感染症の影響で認知行動療法の対面でのグループ療法の実施が困難となった。一方、心理療法の治療予測因子に関する研究結果(業績1 doi:10.1097/j.pain.0000000000002201)から、行動面における引きこもりは痛みに対する破局的思考を刺激し、痛み体験を助長することが予測された。そのため、感染リスクの不安を助長せずに慢性疼痛に対処すべく、オンラインでの慢性疼痛に関する認知行動療法の実施を検討した。 まず、Teamsによるテレビ電話を用い、セキュリティ対策を行ったオンライン環境を整備した。また、治療にあたる医師(倉田・吉野)は厚生労働省が定める「オンライン診療を行う医師向けの研修」のe-learningを受講した。また、国内外の文献検索サイトより、ICT(情報通信技術)を利用した慢性疼痛の認知行動療法や心理教育プログラムについての文献レビューを行った。この文献レビューを踏まえて、これまで我々が対面で行っていた慢性疼痛の認知行動療法プログラムをオンライン用に見直し、手順書を作成した。 その上で、まずは慢性疼痛に対するオンライン認知行動療法の有効性について検討することを目的として、「慢性疼痛に対するオンライン認知行動療法の開発ならびに脳機能的病態についての検討」として研究実施計画書を作成し、広島大学臨床研究倫理委員会に提出して2021年4月に承認されたところである。 また、今後の慢性疼痛患者における情動疼痛課題時のfMRIとの比較に用いるため、健常者の安静時fMRIデータならびに課題時fMRIについて引き続きデータ収集を行い、本研究と関連のある内容について論文が採択された(業績2 doi: 10.3389/fnhum. 2020.00165)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で疼痛に関する認知行動療法のグループセッションを行うことが困難になり、がん患者においては感染の懸念から電話再診を希望する患者も増えてリクルートが滞っている。しかし、本研究に関する内容について広島大学臨床研究倫理委員会の承認を得ることができた。また、本研究と関連のある内容について論文を採択することができた。
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今後の研究の推進方策 |
オンラインでの慢性疼痛に関する認知行動療法の実施について、シュミレーションを行う。対象患者のリクルートを開始するが、まずはオンラインでの認知行動療法の有効性も検証する必要があるため、がんサバイバーを含め広く慢性疼痛の患者をリクルートし、オンラインでの認知行動療法の前後での心理検査、脳機能画像、臨床的背景を比較し有効性を検証する。慢性疼痛に対するオンライン認知行動療法の有効性が検証できれば、がんサバイバーの慢性疼痛患者をさらにリクルートし、オンライン認知行動療法群と通常治療群(支持的精神療法、薬物療法)に割り付けて心理検査、脳機能画像、臨床的背景について比較検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が解析をするに至らず、解析に要する機器やソフトの購入を行わなかった。次年度にはこれらの機器やソフトを購入し解析に至る準備を進める予定である。
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