研究課題/領域番号 |
19K08023
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
鵜飼 渉 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (40381256)
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研究分担者 |
橋本 恵理 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30301401)
石井 貴男 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40404701)
木川 昌康 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50581146) [辞退]
豊島 学 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (90582750) [辞退]
森元 隆文 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (60516730)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 社会性認知機能障害 / シンクロナイザーニューロン / GABA作動性インターニューロン / 幹細胞投与療法 |
研究実績の概要 |
本研究では,特に,GABA作動性神経系発達が多大な影響を受けることが報告されている胎生期免疫ストレス誘発統合失調症モデル動物を作成し,臨床で社会認知機能の改善効果が報告されている統合失調症治療薬を投与した際の,脳神経機能,および脳内・血中exosome内の関連分子の変動解析を行い,社会性機能の病態について新たな知見を得ようとするものである。 2年目および今年度は,社会認知・共感性機能に関わる脳神経回路ループ(扁桃体→前部帯状回→後部帯状回→背側海馬→腹側海馬→扁桃体)の各領域における関連分子の同定とその変動の解析を進め,モデル動物に,Blonまたはhaloperidol (Halo)を投与した群では,背側/腹側海馬,および扁桃体領域において,GABA作動性ニューロン関連遺伝子群(PV,Gad1/67,Vgat)が増加し,Glutamate作動性ニューロン関連遺伝子群(Grin1,Gs,Vglut)が有意に変動することを明らかとした。さらに,注目すべき結果として,Blonの投与によって,背部海馬のlong 3'UTR BDNF mRNAの発現が増加していることが分かった。BDNFは,GABA介在ニューロンの発達を制御し,GABA作動性伝達調節に重要な役割を果たしている。特に,長い3'非翻訳領域(3’UTR)をもつBDNF遺伝子の転写産物は,樹状突起に分布することが報告されており,スパイン/シナプス形成に関与する可能性が示唆されている。long 3’UTR Bdnf mRNAは視床下部ニューロンの樹枝突起に豊富に存在することが知られていることから,今後,共感性機能の行動学的変化の解析と,脳内・血中exosome内の関連分子の変動解析を加えて,社会的認知機能の脳基盤回復に関わるメカニズム解明を進めていきたいと思っている。
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