研究実績の概要 |
R3年度は成人でのFCおよびDTIの方法論の確立に努めた。その成果の一部は論文、学会などで報告された。すなわち、統合失調症患者ではSMA-両側中心後回、外側後頭皮質下部でFCは亢進し、補足運動野(SMA)-両側被殻では減衰していた(右SMA seed)。(神経内科 94 (2): 218-224, 2021, Clinical Neurophysiology 131 (10): e252 2020) 統合失調症においてSMAに関する所見は、灰白質の構造上の異常8,9)、自発活動時の低活動、緊張病状態では安静時脳血流亢進11)などが報告されており、基底核および皮質-基底核ネットワークの機能不全や皮質間の抑制機構不全を代償するためにSMAを含む皮質内ネットワークが過活動になっているとも推察されている。統合失調症患者ではSMAを起点としたconnectivityの亢進(SMA-皮質内)または減弱(SMA-被殻)を認め、皮質-基底核ネットワークの機能不全を、SMAを含む皮質内ネットワークが代償していることを示唆する所見とも考えられた。この所見は統合失調症においてネットワーク間の相互制御に障害があることを示唆し、ネットワーク間分離不全仮説を支持するものとも考えられる
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