研究課題/領域番号 |
19K08038
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
武井 雄一 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (30455985)
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研究分担者 |
福田 正人 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20221533)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 脳磁図 / 安静時ネットワーク / 動的ネットワーク |
研究実績の概要 |
事前の検討として統合失調症と健常者の安静時能活動の違いを調べ得るため、26名の統合失調症患者と37名の健常者から取得した安静時の7分間のMEGデータについて、各周波数帯域(Delta~Gamma)の脳部位間の相関行列を計算し、グラフ理論解析にて比較検討を進めた。グラフ理論解析の指標として、一つの脳領域に着目しその脳領域と他の脳領域の接続の仕方についての指標であるmicro scale indicesと脳ネットワーク全体の特徴を捉えるmeso scale indicesに分けられる。本年度はまずは一つの脳領域ごとに計算できるmicro scale indicesであるDegree centralityとClustering coefficientsについて検討を行った。結果として、該当の脳領域がどの程度周囲の脳領域と結合しているかを示すDegree centralityでは群間差を認めなかったが、Clustering coefficientは統合失調症群でベータ帯域を中心に明らかな低下を示した。低下部位は前頭部から側頭部にかけて広範な領域に及んでいた。このことは統合失調症の一つの特徴としてある脳領域と他の脳領域の機能的な接続本数は変わりないが、接続様式が健常者と大きく変化していることを示している。そしてまたこの変化は、連合野である前頭葉や側頭葉を中心に変化しており、統合失調症の精神症状と関連している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今までのデータ収集と解析においてすでに新知見が得られてきているため。
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今後の研究の推進方策 |
今回得られた統合失調症の安静時ネットワークのmicro scaleでの変化を踏まえ、脳ネットワーク全体の特徴を捉えるmeso scale indicesについても健常者との比較検討を行う。またPANSSで評価した精神症状との関連を検討し、統合失調症の安静時脳機能の特徴と精神症状の関係について明らかにする。
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