研究課題/領域番号 |
19K08038
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
武井 雄一 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30455985)
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研究分担者 |
福田 正人 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20221533)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 安静時機能的ネットワーク / 脳磁図 / グラフ理論 / 周波数特異的ネットワーク / ベータ帯域活動 |
研究実績の概要 |
統合失調症(SZ)は、精神症状と認知障害を特徴としており、それは異常な神経ネットワーク形成による「接続障害」症候群であるとの仮説がある。その病態生理解明に多くの研究がなされてきたが、精神症状の形成メカニズムには不明点が多い。この研究ではグラフ理論分析により、安静時の神経ネットワーク(RSN)の特性をマイクロスケールおよびマクロスケールの指標により評価し、SZの潜在的なバイオマーカーの候補を同定した。 具体的には、各周波数帯域でのSZのトポロジー特性を識別し、それらの特性の違いと精神症状の関連について調べた。SZ患者29人と健常対照者38人を対象に、脳磁図で得られたRSNにグラフ理論分析を適用し、ミクロスケール指標(次数中心性とクラスター係数)とマクロスケール指標(全体効率、局所効率、スモールワールド性)で表現されるトポロジー特性を比較した。 さらに、SZ患者群におけるRSNの異常なトポロジー特性と精神症状との関係を調べた。SZ群では、特に高β帯域におけるクラスター係数、局所効率、およびスモールワールド性が低下していた。 さらに、低β帯域で、マクロスケール指標の異常と陰性症状との間に密接な関連を認めた。SZ患者の局所神経ネットワークは、主にβ帯域で、マイクロスケールレベルとマクロスケールレベルの両方で破綻している可能性がある。 SZをβ帯域における局所ネットワークの形成障害として電気生理学的視点から検討することは、「接続障害」症候群としてのSZの病態生理について、より深い洞察を提供できると考える。これらの成果について、Psychiatry and Clinical Neurosciencesに論文発表を行った。
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