研究課題
本研究は小児期の注意欠如多動性障害(ADHD)に対して、いままで検討が不十分であった男 女の脳神経学的基盤の差を明らかにし、特に、女児に対するADHD診断 の客観的指標を開発す ることを目的とする。ADHD は小児期に最も多く見られる精神疾患で、男女比が2から10対1 と男児が多く、症状の経過にも男女差がある といわれている。男女差の重要性が注目される ようになってきたが、脳神経学的基盤の男女の差は明らかとなっていない。本研究の指標と して、侵襲性のない 磁気共鳴画像を用い、機能的および構造脳回路結合のADHDの男女の差を 検討し、それぞれ定型発達児との判別を行い診断のための客観的指標の開発を目指す。 客観 的指標を導入する事により、見逃されていたADHDの女児の診断と適切な治療が可能となり、 ADHD 女児の成人期の予後改善につながると考えられる。 2022年度までに、ADHD男児 44名、女児 17名、定型発達児 男児 14名 女児 19名の撮像を行なった。ADHD児の中で未内服の群は男児17名、女児11名の撮像を終えた。それぞれ、T1画像、ムービー鑑賞時脳機能画像、安静時脳機能画像について撮像した。また、ADHD症状、問題行動の指標だけでなく、感情制御の指標、愛着、社会サポートやQuality of lifeといった指標 を評価した。さらに、児の母のMRI画像と、親から子供への愛着、育児ストレス指標も取得しており、母子の脳機能の相関解析を行うことができ、母子の愛着に ついての男女差を検討することができるデザインとした。また、子供の質の高いMRI画像を撮像するためには、どのような方法をとるのが望ましいかについてモックスキャナーを用いたpreparationについてのsystematic review, meta analysisを行い、論文を出版した。
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PCN Reports
巻: in press ページ: in press
Psychiatry and Clinical Neurosciences.
巻: in press ページ: inn press
Pediatric Radiology
巻: 53 ページ: 142~158
10.1007/s00247-022-05394-8