研究課題
研究成果①:2379名の妊産婦(初産婦1116名、経産婦1263名)を対象に、産後1ヶ月の時点でMother-to-Infant Bonding Scale (MIBS)とHospital Anxiety and Depression Scale (HADS)のデータを収集した。MIBS得点は、経産婦に比し初産婦で有意に高かった(2.89 ± 2.68 vs 1.60 ± 2.11; p < 0.0001)。HADS不安(6.55 ± 4.06 vs 4.63 ± 3.41; p < 0.0001)とHADSうつ得点(6.56 ± 3.43 vs 5.98 ± 3.20; p < 0.0001)は、経産婦に比し初産婦で有意に高かった。さらに、MIBS得点を従属変数、分娩歴、HADS不安得点、HADSうつ得点を独立変数としてstepwise multiple regression analysisを行った。その結果、HADS不安得点、HADSうつ得点、分娩歴と、MIBS得点との間にそれぞれ有意に関連を認めた(p = 0.003, 0.015 and 0.023)。研究成果②:2020名の妊産婦(初産婦1029名、経産婦991名)を対象に、産後1ヶ月間の児への栄養方法についてアンケートを行った。そして、児への栄養方法(完全母乳影響/非完全母乳影響)、分娩歴、HADS不安得点、HADSうつ得点、MIBS・lack of affection得点、MIBS・anger and rejection得点の因子を用いてパス解析を行った。その結果、栄養方法は、産後1ヶ月の母親のうつや不安、母親から児へのボンディングに有意な影響を与えないことが変わった。また、不安の高さは人工栄養の使用と関連していた。
2: おおむね順調に進展している
論文などで成果発表も平行して行えており、順調に研究が進展している
今後もデータの解析を進め、妊産婦が親から受けた養育体験やパートナーとの関係性、妊産婦の発達特性などの精神医学的因子、さらには、妊娠方法、出産方法、妊娠分娩歴などの産科学的因子が、どのように妊産婦の抑うつや不安、児への愛着に影響を及ぼしているかを包括的に解析していく。
データ保管用のロッカーなどの購入が予定より少し遅れている部分があるが、2020年度に順次購入を進める予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
Neuropsychiat Dis Treat
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