研究課題
【目的】今年度は、思春期以前の被養育体験が、周産期における母子間のボンディングにどのような影響を与えるかを、抑うつ、不安、出産経験などの要因を考慮して検討を行った。【方法】Parental Bonding Instrument (PBI)を用いて被養育体験を調べた。参加者は、妊娠初期(約12~15週)、妊娠後期(約30~34週)、産後(産後4週)の3時点で、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)とMother-to-Infant Bonding Scale(MIBS)に回答した1301名の妊婦である。出産経験、PBIサブスケール(父親の養護、父親の過保護、母親の養護、母親の過保護)、HADS、MIBSを含む要因を用いてパス分析を行った。【結果】父親または母親からの低養護の養育体験は、妊娠初期のより高いHADSおよびMIBS得点を予測した。さらに、母親からの低養護の養育体験は、産後のより高いHADS得点と、妊娠後期のより高いMIBS得点を予測した。父親または母親からの過保護な養育体験は、妊娠期間中のより高いHADS得点を予測した。さらに、母親からの過保護な養育体験は、妊娠後期のより高いMIBS得点を予測した。初産婦であることは、産後のより高いHADS得点および妊娠初期と産後のより高いMIBS得点を予測した。経産婦であることは、妊娠後期のより高いMIBS得点を予測した。【結論】本研究結果は、思春期以前のネガティブな被養育体験が、周産期における母子間のボンディングに(不安や抑うつを介して)間接的および直接的な影響を与えることを示唆している。
2: おおむね順調に進展している
複数の論文で成果を発表できいるため。
今後さらに論文による成果発表を行っていく。
引き続き複数の論文発表を行う予定であり、英文校正と論文投稿費用に使用する計画である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Psychiatry and Clinical Neurosciences
巻: 75 ページ: 312~317
10.1111/pcn.13289