研究実績の概要 |
我々は,正常圧水頭症発症家系解析によって,繊毛‐鞭毛関連タンパク遺伝子の一つであるCFAP43遺伝子が発症原因であることを発見し論文に報告した。CFAP43遺伝子の他に, これまで Cfap54遺伝子やGemc1遺伝子の変異が繊毛病として正常圧水頭症をきたすことが報告されており, これらCFAP群の変異によって正常圧水頭症を発症している症例も多く存在すると考えられるが, その検証は未だなされていない。そこで我々は, 認知症患者でのCFAP遺伝子群を含む繊毛構成タンパク群の変異スクリーニングを行い, 認知症群での保有頻度を検証することで, 診断および治療への基本知識としたいと考えた。その第一段階として, まず認知機能低下で通院, もしくは入院している患者を対象に検体を総計100名、改訂版長谷川式簡易知能スケール、もしくはMini Mental State Examinationによる分類を行い、点数を10点以下、10から15点、16点から20点と分け、それぞれ40名、30名、30名程度収集したいと考えた。当初予定していた検体数の収集は想定外の困難を極めており、未だ予定数の収集には至っていない。また、現時点で、新型コロナウイルス感染の流行により患者本人にお会いすることが困難な状況となっていることもあって、今後しばらくの期間は収集が難しいと思われる。緊急事態宣言が収まって平常化し、検体数が予定数収集できれば、スクリーニング自体は簡便に行えるようにターゲットシーケンスの整備は行なっている。
|