研究実績の概要 |
我々は,正常圧水頭症発症家系解析によって,繊毛‐鞭毛関連タンパク遺伝子の一つであるCFAP43遺伝子が発症原因であることを発見した。CFAP43遺伝子の他に, これまで Cfap54遺伝子やGemc1遺伝子の変異が繊毛病として正常圧水頭症をきたすことが報告されており, これらCFAP群の変異によって正常圧水頭症を発症している症例も多く存在すると考えられるが, その検証は未だなされていない。そこで我々は, 認知症患者でのCFAP遺伝子群を含む繊毛構成タンパク群の変異スクリーニングを行い, 認知症群での保有頻度を検証することで, 診断および治療への基本知識としたい。 その第一段階として, まず認知機能低下の症状で通院, もしくは入院している患者を対象に,血液もしくは唾液から検体を総計100名程度収集したいと考えた。昨年度から引き続き、新型コロナウイルスの流行下では入院中の訪問は制限がなされており、また、検体の収集には接触を余儀なくされることから,当初予定していた検体数の収集は難しく,未だ予定数の収集には至っていない。また,今後しばらくの期間は収集が難しいと考えられる。新型コロナウイルス感染拡大が収まって平常化しある程度の終息になれば,施設等への訪問が可能になり,検体が予定数収集できると考えている。検体数がある程度集まった方が,少しずつ実施するよりもかなり予算を節約出来るため, 検体の収集を待っている状況である。その状況に備えてスクリーニング自体は簡便に行えるようにターゲットシーケンスの整備は行なっている。
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