研究課題
研究実施計画に基づき、入院中のがん患者の自殺の実態を調べるための調査紙案第1版を作成した。これについて研究班で検討を行、その検討結果を踏まえ、さらに第1.1版を作成した。調査項目は、①病院の基本属性と医療安全管理体制、②過去2年間のがん患者の入退院数とがん種、③過去2年間の入院中のがん患者の自殺関連事故とその自殺関連行動種別ごとの発生数、④自殺関連事故の患者のがん種・入院診療科、⑤自殺関連事故の患者のがん治療の経過、⑥自殺関連事故の発生場所、⑦自殺関連事故の発生時間、⑧自殺関連事故の手段、⑨自殺関連事故の発生状況と自殺の危険因子の有無、⑩自殺関連事故の患者の精神科受療の有無と内容、⑪自殺関連事故発生後の対応、⑫自殺関連事故の患者の担当者、あるいは事後対応をした医療者のケアの実態、⑬自殺関連事故発生後に生じたトラブル、⑭院内の自殺予防対策の有無と内容、とした。調査紙案を確定したのちに、代表研究者の所属機関において倫理委員会に研究実施計画の倫理審査を申請し、令和2年3月5日に承認を得た。さらに、当初の研究実施計画には提示していなかったこととして、がん相談支援センターを利用したがん患者、あるいはメンタルヘルス不調による相談支援や精神科診療を受けたがん患者に対して、簡便な心理的介入を導入する目的で、スマートフォンのアプリケーションの開発を計画した。当該年度は、そのための先行調査・研究・実施例の調査を行った。
3: やや遅れている
当初計画では、質問紙の確定版を得て、初年度内にこれを調査対象機関に配信し、調査を実施する予定であった。しかし、がん患者の自殺事故に関する先行研究のレビューに時間を要し、倫理審査申請に時間を要した。質問紙確定版は策定されたものの、最終的に配信を行う拠点となる日本医療機能評価機構認定病院患者安全推進協議会との調整に関して、COVID-19の影響により打ち合わせが実施できず、調査実施は第2年度に持ち越された。ただし、当初は予定されていなかった、「がん患者を対象としたメンタルヘルスと自殺予防に資するスマートフォン・アプリケーションの開発」に着手するなど、必ずしも単に遅延したわけではなく、別に成果も得られている。
調査紙確定版は策定されているので、協力研究者と協働機関との最終確認と調整がつき次第、全国調査は実施される。調査期間は2か月程度、返送期間は1か月程度設定し、集計を含めて6か月間程度の期間を設ける。第2年度内に集計結果などを踏まえて各種データセットを作成し、第2年度内に統計データを得る。その後に、それらの結果の論文公表を準備するとともに、結果を踏まえての、「入院中のがん患者の自殺の危険因子を適切に評価し、早期に心理的危機介入と多職種チーム医療による患者支援を可能にするための教育研修プログラム」を当初予定通りに開発する。
研究実施計画がやや遅延したことと、COVID-19により、予定されていた打ち合わせ、班会議、および学会参加等がすべて中止となり、残額が生じた。使用計画については、COVID-19に関連した移動制限解除後に、協力機関であり、質問紙調査の郵送元となる日本医療機能評価機構患者安全推進協議会との打ち合わせを(於東京)を早期に再開し(会議費用・旅費の執行)、質問紙印刷(消耗品費の執行)、配信を行い、本来、令和元年度に執行する予定であった予算を令和2年度に執行する。また、令和2年度中に執行予定の予算は、そのまま、年度内に執行する予定としている。
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