研究課題
令和元年中に作成された、入院中のがん患者の自殺の実態を調べるための調査紙案第1.1版をさらに改訂し、あらためて(最終)確定版を作成した。調査項目は、①病院の基本属性と医療安全管理体制、②過去2年間のがん患者の入退院数とがん種、③過去2年間の入院中のがん患者の自殺関連事故とその自殺関連行動種別ごとの発生数、④自殺関連事故の患者のがん種・入院診療科、⑤自殺関連事故の患者のがん治療の経過、⑥自殺関連事故の発生場所、⑦自殺関連事故の発生時間、⑧自殺関連事故の手段、⑨自殺関連事故の発生状況と自殺の危険因子の有無、⑩せん妄既往の有無、⑪自殺事故後の報告・検討体制の有無と内容、⑫自殺関連事故の患者の担当者、あるいは事後対応をした医療者のケアの実態、⑬自殺関連事故発生後に生じたトラブル、⑭平常時の院内の自殺予防対策の有無と内容とした。倫理的手続きの確認、調査紙の配信方法の検討を経て、研究協力機関である、日本医療機能評価機構認定病院患者安全推進協議会から認定病院に向けて調査紙を配信し、令和3年1月31日の調査紙を回収した。結果的に80の総合病院から回答を得て、10病院(12.5%)から10件の自殺事故報告を得た。自殺関連行動発生入院病棟は、消化器系診療科で4事例、呼吸器系診療科で3事例で、両ユニットが大半を占めた。癌腫は、胃がん3、気管支・肺がん3、胆嚢・胆管がん2、肝がん、膵がん1だった。当該入院中の主たる治療については(重複回答あり)、手術4、化学療法2、緩和ケア4、検査等2であった。入院中に3事例でせん妄を認めていた。全例が病院内での自殺事故であった。
3: やや遅れている
調査紙の再改訂が必要となり、日程を要した。また、調査紙回答率が低かったことから、回答期限を延長した。他に、COVID-19感染拡大により、所定の研究者間のミーティングがオンライン上のみとなり、詳細な研究実務の打ち合わせを行うことができず、研究実務の効率性が低下した。
令和3年以降、調査結果の詳細な検討と解析を行う。調査結果を踏まえての教育研修プログラムを令和3年前期までに策定し、教育資材(研修テキスト)の教育要綱(執筆項目)を確定し執筆者に依頼をする。令和3年後期に、教育研修を対面、あるいはオンラインで実施し、その効果検証を行う。また、教育資材を完成する。
COVID-19感染拡大により、研究分担者、研究協力者等との研究にかかる打ち合わせをまったく行うことができず、また、研究を進めていくうえで必要な情報の獲得や関連領域の研究者間の交流のための学術会議の参加もすべて中止となり、旅費等の出費が無かった。研究規模の縮小、進捗の遅れが生じ、得られた研究成果(データ)の集計、解析について協力者への依頼事項が減少したことで、人件費・謝金も発生することが無く、成果公表に要する費用も発生しなかった。また、研究成果に基づき教育資材の作成を開始すべきところ、研究の進捗の遅れにより、かかる作成に必要な消耗品等の物品購入も予定した額よりも少額となった。今後の使用計画を再度検討し、オンライン会議による研究打ち合わせを可能とするための、またセキュリティを確保したうえでのデータのやりとりを可能とするための機器の購入、感染予防対策を踏まえたうえでの最小限の移動による会議開催のための旅費、研究成果公表のための消耗品費や英文添削費用、論文投稿料に研究費を使用する。また、研修プログラム策定については、対面研修会から、オンライン研修会やe-ラーニング用プログラム開発のための消耗品・動画作成に研究費を振り分け、紙媒体以外の動画資材の作成も検討し、適宜、研究費をそこに充てる。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)
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