研究課題/領域番号 |
19K08052
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
浄土 英一 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50211975)
|
研究分担者 |
鈴木 喜明 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80423797)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | PET / 5-HT2A receptors / schizophrenia / phencyclidine / rat |
研究実績の概要 |
本年度は当初セロトニン5-HT2A受容体の選択的放射性マーカーである18F-altanserinの合成がうまくいかず、18Fとaltanserinが脳内で分離して大部分の18Fが頭蓋骨内に集積してしまい、脳実質内がほとんど標識されなかった。このままではこれを選択的放射性マーカーとして使用できないので、まず安定した18F-altanserinの作製に注力した。その結果、生体内でも安定して分子構造を維持できる18F-altanserinの合成方法を確立することができた。合成した物質の選択的マーカーとしての信頼性および妥当性を検証するため、複数のラットに麻酔下で作製した18F-altanserinを尾静脈投与しPET測定を実施し、5-HT2A受容体の脳内分布および受容体への結合能(binding potential)を先行研究で報告されている分布および結合能値と比較した。その結果、分布および受容体結合能において先行研究と同等の結果が安定して得られることを確認した。 また、統合失調症モデル動物としてのphencyclidine (PCP)反復投与ラットの行動異常・症状評価に用いる社会行動評価テストにおいて、テストに使用される実験箱(アクリル製)とテスト遂行中の録画画像から被検体の行動を自動的に定量化(移動軌跡、移動量、移動速度、特定の場所での滞留時間、首振り行動量等)するソフトウエア(使用言語python)を作製・開発した。 よって、本実験を遂行するための事前準備がすべて整ったので、次年度から本来の研究目的を達成するため、PCP反復投与ラットを対象とした実験を開始する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
セロトニン5-HT2A受容体の選択的放射性マーカーである18F-altanserinの合成がうまくいかず、18Fが脳内で分離して頭蓋骨内に高濃度で集積してしまい、脳実質がほとんど標識されなかった。このため、本年度は本実験にはいることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
安定した受容体結合能を有する18F-altanserinの持続的な合成が可能になり、また、本実験の遂行に必要なすべての準備が完了したので、次年度から精力的に実験を実施し、研究の遅れを挽回する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、セロトニン5-HT2A受容体の選択的放射性マーカーである18F-altanserinの合成がうまくいかず、生体内で18Fとaltanserinが分離してしまい、脳実質内が全く標識されなかった。このため、今年度は安定した18F-altanserinの合成に注力せざるをえず、今年度に本来実施するはずの実験がほとんど遂行できなかった。この本来実施するはずの実験遂行に要する費用(薬剤原材料費、サイクロトロンを用いた薬剤合成費、実験動物代、PET使用料等)がほぼ全額、次年度に繰り越されることになった。 すでに生体内でも安定して分子構造を維持できる18F-altanserinの合成方法を確立することができているので、次年度は本年度実施する予定だった統合失調症モデル動物を用いたPET測定実験を実施可能である。したがって、次年度に繰り越された予算はこれらの実験の遂行に必要となる消耗品(薬剤合成費、PET使用料、実験動物代等)に使用する。
|