研究課題/領域番号 |
19K08054
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三村 將 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00190728)
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研究分担者 |
宗 未来 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (00327636)
菊地 俊暁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20365373)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高次脳機能障害 / 認知行動療法 / 怒り / 情動制御 |
研究実績の概要 |
本研究においては、注意や記憶などの認知機能低下が認められる高次脳機能障害traumatic brain injury:TBI)患者に、視覚ツールを用いた認知行動療法(Visual Cognitive Behavioral Therapy(V-CBT))を行い、精神症状の変化が可能であるのかを検証することが目的であった。その中でも、特に感情制御が困難な患者に対して、怒りの制御に焦点を当てた手法が情動制御において有効であるかを検証した。まず視覚情報を活用した集団認知行動療法のマニュアルを、過去の文献やエキスパートの意見を集約して開発した。さらに単群前後比較のオープン試験として、3名を対象に計6回実施した。精神状態・行動の評価を治療前後で行い、その結果を受けて、対象者の理解度や改善度などを考慮して、使用するツールの修正を行った。また海外の個人用マニュアルを翻訳し、その構成要素を取り入れて改変を行った。修正したマニュアルを用いて、さらに2名に対して1クール計8回の構成として、単群前後比較のためのオープン試験を行った。怒りを評価するSTAXI-2を用いて前後で比較したところ、1名については明らかな改善が得られており、一方で怒りを気付く前半パートよりも、コントロールするために情動と向きある必要の後半パートで怒りが表出される側面もあることが分かった。また、翻訳した個人用のマニュアルやツールについて、高次脳機能障害学会のホームページで公表予定である。さらに、本研究にて開発したツールやその有効性について学会等で報告を行った。今後の課題として、外傷後の高次脳機能障害の場合にはトラウマ体験を抱えている場合もあるため、集団で実施することが望ましくない症例などの見立てが不可欠となると考えられた。
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