研究課題/領域番号 |
19K08057
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研究機関 | 大阪河崎リハビリテーション大学 |
研究代表者 |
武田 雅俊 大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 教授 (00179649)
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研究分担者 |
酒井 桂太 大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 教授 (90517012)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知予備力 / 心理社会的要因 / アポリポ蛋白 / 補体 / トランスサイレチン / アミロイド / タウ / キネシン軽鎖バリアント |
研究実績の概要 |
「認知予備力」は心理社会的な現象として理解されており、脳可塑性との関係が推察されているものの、その生物学的な本態は明らかにされていない。本研究では、地域在住高齢者100名に対して、エントリー時に認知予備力調査票Ver3.2による認知予備力スコアを評価した後、エントリー時および一年後にACE-Rによる認知機能評価と静脈採血による末梢血を用いたバイオマーカー(APLP1, APLP2, KLC1vE, ApoE, ApoA1, C3, TTY)の定量を行うこととしている。 貝塚市の地域在住高齢者97名について、認知予備力調査票Ver3.2による調査を行った。調査票のの解析は途中てあるが、ほぼ必要なデータが得られたものと考えている。また、調査票を記入していただくと共に、採血を依頼し、90名以上の参加者からの静脈血採血サンプルを得ることができた。そのサンプルを用いて、 アポリポ蛋白E(ApoE)、アポリポ蛋白A1( ApoA1)、補体 C3、トランスサイレチン(TTY)の定量を行なった。そして、APLP1、 APLP2、 KLC1vEの測定のためのサンプルを保存した。現在、認知予備力調査票の解析と、ApoA1、C3、TTYの相関関係について解析中である。また、APLP1およびAPLP2の定量については質量分析器の準備と調整が必要であり、後日の二回目の採血サンプルを入手した時に、一時に定量できるようにその準備を整えている。KLC1vEについても今後の解析に備えてサンプルを調整中であり、二回目以降の採血サンプルを入手できた時に、合わせて解析する予定である。 コロナ感染症のために本年3月に予定していた第二回目の地域住民に対するプログラムが不可能となったが、このような事態を乗り越えて、なんとか重要な知見が得られるように努力するつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知予備力調査票Ver3.2にまで改訂し、完成した。この調査票を用いて貝塚市地域高齢者100名に対して調査した。認知予備力を破堤する心理社会的要因について解析を続けている。また、同時に収集した静脈血サンプルを使い、アポリポ蛋白A1、補体成分C3、トランスサイレチンの量を定量した。同時にAPLP1、APLP2、KLC1vEの定量のためのサンプル処理を行い保存した。本年3月に予定していた地域住民に対する介入プログラムの開催で、新型コロナウィルス感染症の感染拡大予防のために、開催できなくなったことは、本研究の進捗に大きな影響を及ぼした。二回目の採血が困難な状況となり、本年の秋に開催を予定している介入プログラムの実施を待って採決することを考えているが、これが実施不可能となった場合には、どのような対応が可能かを考えなければならない。いずれにしろ、基本データは入手出来ているので、どのように対応するかを検討してなんとか意味のあるデータを得ることを目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
研究遂行の大枠の筋道については、現時点では大きな変更は必要ないものと考えているが、本年秋に予定している貝塚市の住民介入プログラムの実施が不可能になった場合には、何らかの対策が必要となるかもしれない。研究者としては、なんとかデータを入手するために住民介入プログラムを実施したいが、貝塚市との連携事業であり、貝塚市役所の体育館などを使用していることから、行政の判断に左右されることになる。 そのような場合に備えて、どのような対策が可能かを検討している。一つの解決法は、心理社会的要因だけでは説明できない認知予備力の動きをできるだけ少ない生物学的パラメーターにより解析できないかを検討することではないかと思っている。 本研究の意義としては、高齢者になっても認知予備力を維持するための方策を見出すことも一つの目標であり、実際の健康寿命の延伸と認知症予防に役立つものとも考えられることから、このような直接的な研究目標を設定して、社会に還元できるような成果にたどり着きたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた介入プログラムがコロナ感染症拡大防止のために、実施できなかったために、支払い実績が大きく減額した。また、検体測定のための準備も大幅に遅れた
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