研究課題
剖検脳で大量のアミロイド沈着や神経原線維変化を示す個体でも生前に認知機能障害を呈さなかった例もあり、近年のアミロイドPETにおいても、アミロイド沈着レベルが必ずしも認知機能障害と相関していない個体があることから、アルツハイマー病の病理レベルと認知機能障害との間には乖離がある。この解離を説明するために認知予備力仮説がある。当初、認知予備力は心理社会的な現象として理解されていたが、認知予備力の生物学的な本態を解明する研究が可能となってきたことから、代表研究者らはアミロイド・カスケード仮説に沿って、認知予備力の生物学的本態を解明する研究を計画し、認知予備力の高い個体では、どの過程に影響を与えているかを検討した。本研究では、地域在住高齢者に代表研究者らが開発した認知予備力調査票Ver3.2による認知予備力スコアを評価し、同時にACE-Rによる認知機能評価と静脈採血による末梢血バイオマーカーの定量を行ない、以下の点を明らかにした。認知予備力を規定する心理社会的要因について解析し、単身者、仕事を持っていないこと、日常生活で定期的に運動をしていないことが、1年後の認知機能低下と関係しており、認知予備力レベルにより認知機能低下の速度が規定されていることを示した。を適正に評価していることを示した。ApoEタイピングの結果は、予想した通りApoE4アレル数の増加は、認知機能レベルを低下させる傾向を示していた。エントリー時に収集した静脈血サンプルを使った、アポリポ蛋白A1、補体成分C3、トランスサイレチンTTYの量はいずも認知機能と相関を示しておらず、認知機能レベルよりも認知予備力レベルと一定の相関を示すことを明らかにした。残念ながら、新規バイオマーカーとして定量を予定していたAPLP1, APLP2, KLC1vEについての結果はサンプル数が不十分なこともあり、明瞭な結果を得るに至らなかった。
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