研究実績の概要 |
若年ミオクロニーてんかん(JME)は思春期に発症し、ミオクロニー発作、強直間代発作などを特徴とする最も頻度の高い特発性てんかんの一つである。申請者らは、第6番染色体短腕6p12から原因遺伝子の一つEFHC1遺伝子の同定に成功し (Suzuki et al., Nat. Genet., 2004, 36:824-9)、さらに新たなEFHC1疾患変異の報告も行なっている(Medina et al., Neurology, 2008, 70:2137-44)。また、本研究成果の一部としてEfhc1のコードするタンパクmyoclonin1がマウスの脳では運動性繊毛を有する細胞でのみ観察され神経細胞および細胞分裂装置では観察されないことを確認し報告している(Suzuki et al., Sci Rep, 2020,10:22076)。以前、申請者らはEFHC1遺伝子に加えて、腸管細胞キナーゼをコードするCILK1 (ICK)遺伝子の変異を複数のJME家系から発見し報告している(Bailey et al., N. Engl. J. Med. 2018, 378:1018-28)。Efhc1およびCilk1遺伝子ノックアウト(KO)マウスは共にてんかん症状を示し、また、これら遺伝子がコードするタンパクが運動性繊毛を有する上衣細胞で強く発現していることから、共通の発症メカニズムが想定される。本研究は、EFHC1およびCILK1変異によるてんかん発症メカニズムの解明を目的としている。本年度は、昨年度に引き続きEfhc1-KOマウスがCilk1-KOマウスで観察されたイソフルラン誘導性の強直間代発作を引き起こすかどうか痙攣感受性の評価およびこれらKOマウスの線条体での抑制性神経細胞数の評価を使用動物数を増やして実施した。
|