研究課題
本研究の目的は、1歳半及び3歳児健診にて運動発達検査、眼球運動検査及び在胎週数・出生体重・睡眠習慣・栄養状態・感覚特性などの調査を行い、内部モデル障害が顕在化する時期及び発達の軌跡を検証するとともに、内部モデルに影響を及ぼす因子を検証し、病態の解明及び予後の改善及に役立てることである。2019年度計画は、乳幼児健診から就学後における認知・感覚・運動発達の調査として、以下の内容を実施した。①1歳6か月健診:2020年2月~3月に160名の健診参加者に発達調査としてM-CHAT、マッカーサー言語発達調査、CBCL、睡眠習慣(JSQP、CSHQ)、ICT調査、吃音とチックの調査を配布した。結果は郵送で回収を行う。②3歳児健診:2019年4月~2020年3月に約1000名にSRS-2によるスクリーニングを施行。カットオフを43点とし、精査対象として知能・運動・社会性について評価を継続している。また2018年に健診参加した1090名のうち、精検対象となった129名中当院で精査を受けた63名について解析を行った。併存障害を含め、発達性協調運動障害の診断を受けた児は17名であった。3歳児におけるDCD有病率は推定で1.67%となった。③5歳児健診:2019年5月及び11月施行。5歳に特徴的な協調運動障害の5症状を抽出した。吃音やチックの症状と協調運動障害の症状に有意な関連性が見られた。1歳半健診で言語発達と吃音やチック障害との関連について調査を追加した。④DCDの診断を受けた児(年間30名)に就学後、発達外来で順次協調運動・学習・認知機能を評価した。現在結果を集計中である。また、DCDに関する学会発表、総説の執筆を行った。
2: おおむね順調に進展している
COVID-19の影響で次年度の乳幼児健診の中止や延期が懸念されている。
COVID-19の影響により乳幼児健診が中止された場合、想定している協力者数が得られない可能性がある。可能な限り同様の調査を継続するとともに、運動発達の軌跡及び内部モデル障害の検証を各年代において進めていく。
年度の後半においてCOVID-19の影響により、学会出張の中止、調査や検査に関わる物品の国内外の購入が困難になったことにより、2019年度内に必要経費を精算できなかった。このため、支払いを2020年度に繰り越した。
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