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2020 年度 実施状況報告書

オキシトシンとバゾプレシン機能が愛着様式とパーソナリティ傾向に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 19K08064
研究機関山形大学

研究代表者

大谷 浩一  山形大学, 医学部, 教授 (00194192)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードオキシトシン / バゾプレシン / 愛着様式 / パーソナリティー
研究実績の概要

自閉スペクトラム症(ASD)はコミュニケーションの障害や限定された興味を中核症状とし、後年特徴的な人格特徴を形成し、2次的にうつ病や自殺などの精神疾患を生ずる危険性が高いと報告されている。神経ペプチドのオキシトシン(OXT)やバソプレッシン(AVP)は報酬、動機付け、社会認知、親子間の愛着関係など広範な生理機能の調節に関与するが、近年の分子生物学的研究において、これらのペプチドの遺伝的要因に基づく機能障害がASDの病因に関与すると示されている。一方、ASDにおいてはコミュニケーションの障害に起因する不安定な親子間の愛着関係をきたすとの報告がある。これらの研究は、OXTやAVPの機能がASDの中核症状や愛着関係に直接的または相互的に影響を与えることにより、後年人格形成に影響を与え、しいては種々の精神疾患発症に寄与すると示唆される。そこで本研究ではOXTとAVP受容体の遺伝型、OXT・AVP血漿濃度、親子間の愛着関係、およびそれらの相互作用が人格特徴に与える影響を検討し、それらの要因がうつ病を含めた精神的健康度に与える影響を明らかにする。
研究の方法として、800例を対象とし、幼少時期に築かれた親子間の愛着関係、ASD傾向、人格特徴、精神的健康度を評価する。また、OXTとAVP受容体遺伝形をPCR法にて同定し、OXTとAVP血漿濃度をELISA法で測定する。研究計画に基づき、令和2年度には対象の募集、人格と幼少時期の養育態度の評価、静脈血採血・DNA抽出、資料収集・情報交換を行った。
得られた結果を、計4篇の英語での論文にて公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

令和2年度は研究計画に基づき、精神的および身体的に健常であるとスクリーニングされた日本人を対象に、幼少時期に築かれた親子間の愛着関係、ASD傾向、人格特徴、精神的健康度を評価し、OXT受容体遺伝形をPCR法にて同定した。また、資料収集と情報交換を行った。得られた結果を、計4篇の英語での論文にて公表した。そのため、“当初の計画以上に順調に進展している”と判断した。

今後の研究の推進方策

令和2年度に引き続き、令和3年度も研究計画に基づいて、対象募集、幼少時期に築かれた親子間の愛着関係、ASD傾向、人格特徴、精神的健康度を評価する。OXTとAVP受容体遺伝形をPCR法にて同定し、OXTとAVP血漿濃度をELISA法で測定する。統計解析を行い、得られた結果を論文や学会にて公表する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Mu-Opioid Receptor Polymorphism Moderates Sensitivity to Parental Behaviors During Characterization of Personality Traits.2020

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Noto, Akihito Suzuki, Toshinori Shirata, Yoshihiko Matsumoto, Nana Takahashi, Kaoru Goto, Koichi Otani
    • 雑誌名

      Neuropsychiatr Dis Treat

      巻: 16 ページ: 2161-2167

    • DOI

      10.2147/NDT.S265774

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Interrelation Between Increased BDNF Gene Methylation and High Sociotropy, a Personality Vulnerability Factor in Cognitive Model of Depression.2020

    • 著者名/発表者名
      Toshinori Shirata, Akihito Suzuki, Yoshihiko Matsumoto, Keisuke Noto, Kaoru Goto, Koichi Otani
    • 雑誌名

      Neuropsychiatr Dis Treat

      巻: 16 ページ: 1257-1263

    • DOI

      10.2147/NDT.S252177

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Musical Hallucinations Induced by Conventional Doses of Paroxetine2020

    • 著者名/発表者名
      Haruka Muraosa, Akihito Suzuki, Keisuke Noto, Koichi Otani
    • 雑誌名

      Am J Case Rep

      巻: 21 ページ: e926735

    • DOI

      10.12659/AJCR.926735

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Implication of core beliefs about negative-self in neuroticism.2020

    • 著者名/発表者名
      Otani K, Suzuki A, Matsumoto Y, Shirata T, Noto K, Kanno M.
    • 雑誌名

      Int J Psychiatry Clin Pract

      巻: 24 ページ: 278-283

    • DOI

      10.1080/13651501.2020.1764586

    • 査読あり
  • [学会発表] パロキセチンにより誘発された音楽性幻聴を呈したパニック障害と二次性うつ病の一例2020

    • 著者名/発表者名
      村長悠,鈴木昭仁,松本祥彦,大谷浩一
    • 学会等名
      第74回東北精神神経学会

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公開日: 2021-12-27  

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