研究課題/領域番号 |
19K08066
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
新津 富央 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (90456054)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グリア細胞株由来神経栄養因子 / 治療抵抗性気分障害 / 双極性障害 / 大うつ病性障害 / リチウム / 新型コロナウイルス感染症 |
研究実績の概要 |
応募者らは、血清中グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)濃度と精神疾患に伴う注意障害との関連を探索する研究を実施した(Niitsu T. et al., 2014; 2021)。その過程で、薬物治療中かつ抑うつ状態にある気分障害(双極性障害及び大うつ病性障害)患者において、血清中GDNF濃度が健常者よりも低下していることを見出した。さらに双極性障害患者において、血清中GDNF濃度が抗躁薬リチウムへの治療抵抗性(治療反応性)と関連することを初めて見出した(Idemoto K. et al., Under review)。 本研究の目的は、①治療抵抗性気分障害における血清中GDNFのバイオマーカーとしての可能性を、縦断的観察研究により探索すること、②GDNFを治療抵抗性気分障害の新規治療ターゲットとして捉え、GDNF発現増強作用を有する既存薬の効果を自主臨床試験により探索することである。本研究により、治療抵抗性気分障害の病態解明と新規治療薬開発への応用が期待される。 2020年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行が研究実施に大きく影響した。特にパンデミックや生活状況の変化による市民や患者の不安・抑うつ状態など精神面への影響を評価する必要が生じため、③一般市民向けのWEBアンケートや千葉大学病院の外来患者と同伴者対象のアンケート調査も実施した。 今年度は、①は入院患者を中心に、入院治療前後でのデータ収集を継続した。②は臨床試験の試験対象薬と対象疾患を再検討し、研究計画書の作成を継続した。③はアンケート調査を実施して、結果を論文発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①入院患者を対象としたサンプル収集は順調に実施できており、最終年度に解析と論文化を予定している。②については、①の結果から対象疾患の再検討の必要性が生じ、臨床試験の試験計画及びプロトコル策定は進捗が遅れている。③新型コロナウイルス感染症による精神面への影響に関するアンケートは論文発表まで実施した。
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今後の研究の推進方策 |
①については、入院患者を中心に収集したサンプルを用いて、解析及び論文化を進める。すでに解析したデータについても論文公表を進める。 ②については、①の研究結果に基づいて対象疾患を再検討する必要があり、研究期間内での試験開始という当初の計画を変更して、臨床試験計画書とプロトコルの完成を目標とする。それに基づき、試験を実施するために必要な新たな研究資金が獲得できるよう準備を進める。 ③については、COVID-19の一般市民や患者の精神面への影響をさらに検討するため、得られたデータの解析や論文公表を続ける。
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