研究課題
【目的】白人を対象とした大規模な統合失調症患者・両親トリオの全エクソーム解析により、de novo変異がその発症に重要な役割を果たすことが明らかにされている。今回われわれは、日本人において統合失調症の発症に大きな影響力をもつ可能性があるde novo変異を同定することを目的として、患者・両親トリオ32家系の全エクソーム解析を行った。【方法】統合失調症患者・両親トリオ32家系(計96人)を対象として全エクソーム解析を実施した。検出された変異について、①de novo、②変異の影響が高度または中等度、③アレル頻度が1%未満、④変異アレルの割合が0.4-0.6などの条件で候補リスク変異を絞りこみ、サンガーシーケンスにより存在を確認した。さらに、同定された候補リスク変異をもつ遺伝子についてGene Ontology(GO)解析を行った。なお、本研究は新潟大学遺伝子倫理審査委員会により承認されており、対象者からは書面にて研究参加の同意を得た。【結果】フレームシフト変異1個、スプライス部位変異1個、ミスセンス変異13個、インフレーム変異1個、計16個のde novo変異を16遺伝子に同定した。GO解析では多重検定の補正後も有意なGOタームは認められなかった。【考察】患者・両親トリオ32家系の全エクソーム解析により、統合失調症の発症に大きな影響力をもつ可能性がある16個のde novo変異を同定した。
2: おおむね順調に進展している
現在までに統合失調症患者・両親トリオ143家系のゲノムDNAサンプルを収集し、32家系について全エクソーム解析を終えている。予算を適切に執行し、おおむね順調に進展していると判断した。
統合失調症患者・両親トリオのゲノムDNAサンプルをさらに収集する。残る家系の全エクソーム解析を進めていく。
予算の大部分は全エクソーム解析のシーケンスに使用した。De novo候補変異の数が予測より少なく、サンガーシーケンスで確認するための費用がわずかに残り、次年度使用額が生じた。次年度は、残る家系の全エクソーム解析を行う予定である。
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