研究課題/領域番号 |
19K08075
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
沼田 周助 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (10403726)
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研究分担者 |
戸田 裕之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 精神科学, 准教授 (00610677)
朴 秀賢 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (60455665)
古賀 農人 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 精神科学, 助教 (70744936)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | うつ病 / うつ病モデルマウス / アミノ酸 / D体 / L体 |
研究実績の概要 |
D体とL体のアミノ酸を区別して定量し、うつ病のヒトの臨床検体(血液)とうつ病のモデル動物検体(脳)におけるアミノ酸を測定して共通する変化を見出すとともに、基礎研究によりうつ病関連候補アミノ酸の生理機能を明らかにして、新規のうつ病の病態解明、バイオマーカーの開発、治療法の開発を行うことを目的としている。 昨年度は、ヒト血漿とうつ病モデル動物の脳(皮質と海馬)の組織を除タンパク・抽出・蛍光誘導体化処理後、二次元HPLCシステムを用いて22種のアミノ酸のD体とL体の濃度を測定し、その特徴を明らかにした。 本年度は、うつ病患者と健常者から新たな血漿試料のリクルートを行うとともに、LPS投与うつ病モデルマウスを作成して脳組織と血漿試料の収集を行った。ヒト血漿とうつ病モデル動物脳のアミノ酸の特徴を比較したところ、ヒト血漿とモデル動物脳に共通して測定可能であったD体アミノ酸はSerとAlaであった。そこで、ヒト血漿試料を用いた検討ではSerに注目し、うつ病患者17名と健常者21名の血漿濃度を測定して比較した。結果、患者群と健常者群でSer濃度に統計学的な有意な違いを認めなかった。先行研究や既報論文のメタ解析でうつ病患者群の高グルタミン血症が報告されていたため、うつ病モデルマウスと対照モデルマウスの皮質、線条体、海馬、血漿のL-グルタミン酸濃度を測定して比較した。結果、いずれの試料においても疾患モデルマウス群とコントロールマウス群でL-グルタミン酸濃度に有意な違いを見出すことはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトの患者ならびに健常者の血漿試料の集積は概ね順調であった。うつ病モデルマウスの脳および血漿試料の集積も概ね順調であった。研究対象としていたアミノ酸も概ね測定し、検証することができた。一方で、予定していたD体のSer濃度の測定については、コロナ感染症拡大の影響のため販売メーカーから測定キットを購入することができず、実験を施行できなかった、
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今後の研究の推進方策 |
本年度集積したヒトおよび疾患モデル動物の試料を用いて、引き続き、うつ病関連候補アミノ酸の定量を行い、うつ病の病態解明ならびにバイオマーカーの開発を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Dセリン測定キットを発注したが、コロナ感染症拡大の影響で本年度に取得できなかったため次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費と合わせて、アミノ酸の測定のための消耗品に使用する予定である。
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