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2020 年度 実施状況報告書

うつ病における扁桃体の役割 -動物実験による解明-

研究課題

研究課題/領域番号 19K08079
研究機関北海道医療大学

研究代表者

泉 剛  北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60312360)

研究分担者 鹿内 浩樹  北海道医療大学, 薬学部, 講師 (00632556)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードうつ病 / 動物モデル / 扁桃体 / 海馬 / FKBP5 / mTOR / Akt / 抗うつ薬
研究実績の概要

前年度までの検討で、うつ病の動物である反復拘束ストレス(RS7)負荷ラットの扁桃体で、ステロイド受容体の阻害因子であるFKBP5が増加し、これが抗うつ薬であるescitalopram(ESC)の2週間の反復投与で拮抗されることを確認した。しかし、使用していた抗FKBP5抗体が特異的でないという指摘があり、FKBP5 KOマウスで特異性を確認されている別の抗体で確認実験を行った。その結果、RS7により扁桃体のFKBP5が増加する所見が確認された。現在、これがESCの反復投与で拮抗されるかどうか実験中である。
また、前年度に引き続いて、抗うつ薬の作用との関連が想定されているPI3K/Akt/mTOR系およびGSK3β/β-カテニン/Wnt系の分子について、RS7負荷ラットで測定を行った。その結果、扁桃体でAktのリン酸化(Ser-483)が亢進していた。一方、mTORは他の分子とmTORC1およびmTORC2という複合分子を形成して機能する。これらの活性化体であるpmTORC1(Ser-2448)およびpmTORC2(Ser-2481)を測定したところ、海馬でpmTORC1が減少していた。GSK3βおよびpGSK3βはいずれの脳部位でも変化なかった。
Aktはアポトーシス抑制因子であり、pmTORC1はタンパク合成やオートファジーを促進性に制御している。一方、うつ病の臨床研究では、扁桃体の過剰活性化および海馬の機能低下が示されている。今回、RS7で得られた扁桃体と海馬における変化は、ヒトのうつ病と対応する変化である可能性が考えられる。今後、RS7負荷ラットの扁桃体でアポトーシス関連分子を測定し、海馬でタンパク合成およびオートファジー関連分子を測定し、さらに検討を進めたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

うつ様行動と関連する脳内分子の変化の検討については、順調に進展している。しかし、ウイルスベクターを用いた扁桃体中心核-視床下部回路の選択的除去については、目的とする脳部位に遺伝子を発現することができなかったため、難航している。うつ様行動と関連する形態学的変化として、扁桃体中心核でのFKBP5陽性細胞数増加の所見を得たため、まず、扁桃体中心核でのFKBP5陽性細胞の投射先をトレーサー実験で検討することとした。

今後の研究の推進方策

Aktはアポトーシス抑制因子であり、pmTORC1はタンパク合成やオートファジーを促進性に制御している。一方、うつ病の臨床研究では、扁桃体の過剰活性化および海馬の機能低下が示されている。今回、RS7で得られた扁桃体と海馬における変化は、ヒトのうつ病と対応する変化である可能性が考えられる。今後、RS7負荷ラットの扁桃体でアポトーシス関連分子を測定し、海馬でタンパク合成およびオートファジー関連分子を測定し、さらに検討を進めたい。
また、RS7のうつ様行動と関連する形態学的変化として、扁桃体中心核でのFKBP5陽性細胞数増加の所見を得たため、扁桃体中心核でのFKBP5陽性細胞の投射先をトレーサー実験で検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

実験助手として雇用した人の出勤日が予定よりも少なかったため、残額が生じた。次年度の物品費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Local injection of D-amino acid oxidase inhibitor to the prefrontal cortex improves AD/HD-like behaviors of SHRSP/Ezo.2020

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Shikanai, Tsugumi Shindo, Sachiko Hiraide, Kenji Iizuka, Takeshi Izumi
    • 学会等名
      第94回日本薬理学会年会

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公開日: 2021-12-27  

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